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国外居住親族に係る扶養控除の適用を受けるためには…

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リエ「黒田さん、お聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか」

黒田「もちろん。何ですか。」

リエ「私の知り合いで外国籍の方がいるんですが、その方は仕事の都合で家族を国外に残して日本で会社勤めをしているんです。この場合、日本での所得に対して国外に住むご家族の分の扶養控除等の適用を受けることはできるんですか?」

黒田「なるほど、そういった方は年々増えていますからね。結論としては、そのご家族が国内にお住まいでも国外にお住まいでも外国籍であっても扶養親族に該当するのであれば扶養控除等の適用を受けることはできます。ただし、今回の場合や日本人でも子供等その家族が国外に1年以上継続して住んでいて、その国外居住親族について扶養控除等の適用を受ける場合は、国外居住親族に係る一定の書類を会社等の源泉徴収義務者に提出する必要があります。」

リエ「一定の書類って何ですか?」

黒田「日本国内にいる人(居住者)と親族であることを示す親族関係書類と、居住者が実際に送金して扶養していることを示す送金関係書類です。」

リエ「具体的にはどんなものを用意すればいいんですか?」

黒田「まず、親族関係書類ですが、
・戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
・外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る)
のいずれかの書類です。これらは国外居住親族の旅券の写しを除き原本の提出又は提示が必要です。」

リエ「それって戸籍謄本などを用意すればいいですか?」

黒田「その通りです。ただそれは、国外居住親族が日本国籍の場合にほぼ限定されます。戸籍制度は海外ではほとんどなく、そもそも戸籍謄本が存在しないんですよ。」

リエ「じゃあ戸籍謄本がない外国籍の方はどうしたらいいんですか。」

黒田「主に婚姻証明書や出生証明書を提示して配偶者であることや親子関係であることを証明します。また基本的にはどちらかの提示で問題ないですが、配偶者の親について扶養控除を受ける場合などは配偶者との婚姻証明書と、配偶者とその親の親子関係を証明する出生証明書等の両方の提示が必要になるなど、場合によっては証明書を組み合わせる必要があります。」

リエ「なるほど。状況によって用意する証明書は異なるんですね。送金関係書類はどんなものですか?」

黒田「送金関係書類は次の書類です。
・金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類
・クレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示して商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類
具体的には外国送金依頼書の控えや居住者が契約し、国外居住親族が使用するために発行したクレジットカードで、その利用代金を居住者が支払うこととしているものに係る利用明細書などです。ちなみに送金関係書類は、原本に限らずその写しも送金関係書類として取り扱うことができます。」

リエ「ありがとうございます。じゃあそれらを用意すればいいんですね」

黒田「ただし送金関係書類は扶養控除等を適用する国外居住親族の各人ごとに必要となります。ですので、国外に居住する配偶者と子供がいた場合に、配偶者に対してまとめて送金している場合は、配偶者のみに対する送金関係書類として取り扱われるため注意が必要です。
また、親族関係書類や送金関係書類が外国語で作成されている場合にはその翻訳文も必要になります。」

リエ「子供の分の扶養控除の適用を受けるには配偶者とは別で送金しないといけないということですね。それにしても翻訳文も必要となれば用意するのに時間がかかりそうですね。」

黒田「その通りです。ですから適用を受けようとする場合は、早めに書類を用意する必要がありますね。」

リエ「ありがとうございます。そのように伝えておきます。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さん、お聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか」黒田「もちろん。何ですか。」リエ「私の知り合いで外国籍の方がいるんですが、その方は仕事の都合で家族を国外に残して日本で会社勤めをしているんです。この場合、日本での所得に対して国外に住むご家族の分の扶養控除等の適用を受けることはできるんですか?」黒田「なるほど、そういった方は年々増えていますからね。結論としては、そのご家族が国内にお住まいでも国外にお住まいでも外国籍であっても扶養親族に該当するのであれば扶養控除等の適用を受けることはできます。ただし、今回の場合や日本人でも子供等その家族が国外に1年以上継続して住んでいて、その国外居住親族について扶養控除等の適用を受ける場合は、国外居住親族に係る一定の書類を会社等の源泉徴収義務者に提出する必要があります。」リエ「一定の書類って何ですか?」黒田「日本国内にいる人(居住者)と親族であることを示す親族関係書類と、居住者が実際に送金して扶養していることを示す送金関係書類です。」リエ「具体的にはどんなものを用意すればいいんですか?」黒田「まず、親族関係書類ですが、・戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し・外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る)のいずれかの書類です。これらは国外居住親族の旅券の写しを除き原本の提出又は提示が必要です。」リエ「それって戸籍謄本などを用意すればいいですか?」黒田「その通りです。ただそれは、国外居住親族が日本国籍の場合にほぼ限定されます。戸籍制度は海外ではほとんどなく、そもそも戸籍謄本が存在しないんですよ。」リエ「じゃあ戸籍謄本がない外国籍の方はどうしたらいいんですか。」黒田「主に婚姻証明書や出生証明書を提示して配偶者であることや親子関係であることを証明します。また基本的にはどちらかの提示で問題ないですが、配偶者の親について扶養控除を受ける場合などは配偶者との婚姻証明書と、配偶者とその親の親子関係を証明する出生証明書等の両方の提示が必要になるなど、場合によっては証明書を組み合わせる必要があります。」リエ「なるほど。状況によって用意する証明書は異なるんですね。送金関係書類はどんなものですか?」黒田「送金関係書類は次の書類です。・金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類・クレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示して商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類具体的には外国送金依頼書の控えや居住者が契約し、国外居住親族が使用するために発行したクレジットカードで、その利用代金を居住者が支払うこととしているものに係る利用明細書などです。ちなみに送金関係書類は、原本に限らずその写しも送金関係書類として取り扱うことができます。」リエ「ありがとうございます。じゃあそれらを用意すればいいんですね」黒田「ただし送金関係書類は扶養控除等を適用する国外居住親族の各人ごとに必要となります。ですので、国外に居住する配偶者と子供がいた場合に、配偶者に対してまとめて送金している場合は、配偶者のみに対する送金関係書類として取り扱われるため注意が必要です。また、親族関係書類や送金関係書類が外国語で作成されている場合にはその翻訳文も必要になります。」リエ「子供の分の扶養控除の適用を受けるには配偶者とは別で送金しないといけないということですね。それにしても翻訳文も必要となれば用意するのに時間がかかりそうですね。」黒田「その通りです。ですから適用を受けようとする場合は、早めに書類を用意する必要がありますね。」リエ「ありがとうございます。そのように伝えておきます。」
2019.03.25 16:41:21