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大法人の電子申告義務化について その2

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電子申告義務化によるe-Taxの改善内容

(1)提出書類のスリム化等

①土地収用証明書等の添付省略(保存義務への転換)
2018年4月から収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等の制度の適用を受ける場合に法人税の申告書に添付することとされている土地収用証明書等について、添付が不要となっています(書面申告の場合も含めて措置)。
なお、当該証明書は保存することを要します。

② PDF 送信された添付書類の紙原本の保存不要化
2018年4月からe-Taxによりイメージデータ(PDF 形式)で送信する添付書類について、一定の解像度及び階調の要件を付した上で、PDFファイルでの保存が認められ、紙原本での保存が不要となります。
この措置により、税務署長による当該添付書類の紙原本の提示等を求める措置は廃止されました。

③勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化
2019年4月から法人税の申告書に添付する勘定科目内訳明細書について、個別記載の上限は100件となり、取引先単位で記載する科目については記載件数が100件を超える場合、支店等毎の記載が可能となりました。
このほか、記載項目の一部を削除することにより、記載内容の簡素化が図られます(書面申告の場合も含めて措置)。

(2)データ形式の柔軟化

①法人税申告書別表(明細記載を要する部分)及び勘定科目内訳明細書のデー
タ形式の柔軟化
2019年4月から法人税の申告において、e-Tax 等により別表(約50帳票)の明細記載を要する部分及び勘定科目内訳明細書を送信する場合のデータ形式について、現状のXML形式のほか、エクセル等で作成可能なCSV形式により送信(提出)することができるようになります。

②財務諸表のデータ形式の柔軟化
2020年年4月から法人税の申告において、e-Taxにより財務諸表を送信する場合のデータ形式について、現状のXBRL形式のほか、CSV形式により送信(提出)することができるようになります。

なお、上記①、②の場合において、データの作成・処理等の円滑化を図るため、国税庁から勘定科目コードが公表され、それを含んだ利用者が簡易な操作で電子ファイルを作成することができる雛形も合わせて提供されます。

(3)提出方法の拡充

①e-Taxの送信容量の拡大
2019年1月よりe-Taxにより申告書等を送信する場合において、以下のとおり1送信当たりのデータ送信容量が拡大されます。

②添付書類の提出方法の拡充(光ディスク等による提出)
2020年4月から法人税の電子申告における添付書類について、光ディスク等による提出ができるようになります。

(4)提出先の一元化(ワンスオンリー化)

①連結法人に係る個別帰属額等の届出書の提出先の一元化
2020年4月から連結親法人がe-Tax等により連結子法人の個別帰属額等の届出書を提出した場合には、連結子法人が当該届出書を提出したものとみなし、連結子法人による提出が不要となります。

②連結納税の承認申請関係書類の提出先の一元化
2019年4月から以下の書類について、連結子法人となる法人又は連結子法人による提出が不要となります(書面提出の場合も含めて措置)。
・ 連結納税の承認の申請書を提出した旨の届出書
・ 完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類
・ 連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類

(5)法人納税者の認証手続の簡便化

2018年4月から法人納税者がe-Taxを利用して申告手続を行う際、当該法人納税者の代表者から委任を受けた者(当該法人納税者の役員及び職員に限る)の電子署名等を送信する場合には、代表者の電子署名等が不要となっています。

(6)その他のe-Taxの利便性向上策

①e-Tax受付時間の拡大
2019年1月からe-Taxの受付時間が
・平日については24時間
・土日については、確定申告期間は24 時間、その他の期間は、毎月の最終土日の8:30から24:00まで
となります。

②法人納税者のe-Taxメッセージボックスの閲覧方法の改善
2019年3月から法人納税者がe-Taxを利用する際、経理担当者が申告書等を作成・送信し、給与担当者が従業員の源泉徴収票を作成・送信するなど、部署単位で手続を行っている場合において、現状、メッセージボックスがどの部署でも閲覧できますが、部署単位で情報を管理できるようメッセージボックスの閲覧方法が改められます。

③法人番号の入力による法人名称等の自動反映
2019年4月からe-Taxソフトにより各種手続を行う場合において、法人番号を入力すれば法人番号公表サイトで公表している最新の法人情報(法人の名称及び所在地等の本店情報)が自動的に反映されるようになります。

④財務諸表の勘定科目設定数の拡充
2020年3月からe-Taxソフトの財務諸表の勘定科目数が現状の約1,600から約6,400に増加し、簡易な操作により法人が保有する財務諸表データを電子的に提出できるようになります。

執筆者情報

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清水 透

清水透税理士事務所 所長 税理士(登録番号104689)

平成18年2月税理士登録
大手税理士事務所に勤務しつつ、平成25年4月~平成28年1月の間みずほ銀行に出向。
平成28年2月独立開業
法人税・消費税・所得税・相続税の申告業務の中でも、法人オーナーに対する相続税約1億円を節税する株式承継の提案や個人の不動産オーナーに対する相続税約5,000万円を節税する提案などの経験。
また税制改正や事業承継の全国でのセミナー、全国のお客様に対し法人の株式承継対策や個人の方々の相続税対策の提案に毎日奔走中。
「気がつけばあなたも相続税?」2011.9(共著)出版
協力:株式会社実務経営サービス
https://www.jkeiei.co.jp/

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①土地収用証明書等の添付省略(保存義務への転換)2018年4月から収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等の制度の適用を受ける場合に法人税の申告書に添付することとされている土地収用証明書等について、添付が不要となっています(書面申告の場合も含めて措置)。なお、当該証明書は保存することを要します。② PDF 送信された添付書類の紙原本の保存不要化2018年4月からe-Taxによりイメージデータ(PDF 形式)で送信する添付書類について、一定の解像度及び階調の要件を付した上で、PDFファイルでの保存が認められ、紙原本での保存が不要となります。この措置により、税務署長による当該添付書類の紙原本の提示等を求める措置は廃止されました。③勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化2019年4月から法人税の申告書に添付する勘定科目内訳明細書について、個別記載の上限は100件となり、取引先単位で記載する科目については記載件数が100件を超える場合、支店等毎の記載が可能となりました。このほか、記載項目の一部を削除することにより、記載内容の簡素化が図られます(書面申告の場合も含めて措置)。
2019.10.04 10:38:40