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個人の事業承継へ税優遇か?

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平成31年度(2019年度)税制改正?

さて、日経新聞の2018年11月4日付けにて、下記の記事が掲載されました。

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個人の事業承継への税優遇、都道府県が審査 経産省案

経済産業省は税制改正で検討している個人事業主の事業承継への税優遇について、適用の条件に都道府県による認定を盛り込む案を固めた。
事業主がまとめる「承継計画」を都道府県が認める場合のみ、贈与税などを猶予する。
個人の資産を事業用と偽るような悪質な節税が横行しないようにする。

2019年度の税制改正で経産省は、個人事業主が子供などに事業を引き継ぐときに贈与税などの支払いを猶予する「個人版事業承継税制」の創設を求めている。
土地や建物・機械設備などをすべて対象にして、事業主が生きている間であれば贈与税を、亡くなった場合は相続税を猶予する仕組みだ。
10年間の時限措置にする。

ただ、税優遇の対象が広いため、自家用の高級車を「事業用」として税負担を逃れるといった節税に使われる恐れがある。

経産省は不適切な節税を防ぐため、税優遇を希望する事業主に事業引き継ぎの「承継計画」を求める。
これを都道府県がチェックする体制として制度が適正に運用されるようにする。

個人事業主については現在も店舗などに使う小規模な土地は相続税を8割減税する特例がある。
経産省は新たな事業承継税制は、既存の特例との選択制にすることを提案する。

自民党税制調査会で協議したうえで、12月にまとめる19年度の与党税制改正大綱に盛り込むかどうかを判断する。
税逃れを厳しく監視する立場にある財務省とも調整を進める。

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現在も小規模宅地の評価減はありますが・・・

昨年の税制改正大綱にて、2018年4月1日より法人版の事業承継税制がスタートしています。

具体的には、「法人版の事業承継税制」は、後継者が非上場会社の株式等を先代経営者等から贈与・相続により取得した際、経営承継円滑化法による都道府県知事の認定を受けると、贈与税・相続税の納税が猶予される制度となっています。

では現在、個人事業主に対して、事業承継に当たって何らかの手当てがないのかというと、上記新聞記事にもあるように、「個人事業主については現在も店舗などに使う小規模な土地は相続税を8割減税する特例」があります。

但し、上記はあくまで土地だけですので、建物や機械装置などは対象外となっています。

個人版事業承継税制の創設か

今回制度の創設が検討されている個人版事業承継税制では、「土地や建物・機械設備などをすべて対象にして、事業主が生きている間であれば贈与税を、亡くなった場合は相続税を猶予する仕組みだ。10年間の時限措置にする。」とあります。

つまり、土地だけではなく事業承継するにあたって必要なすべての事業用資産を対象とする代わりに、恒久措置ではなく10年間の時限措置とする予定となっています。

ちなみに、今年から始まった法人版の事業承継税制も10年間限定ですので、斟酌を合わせた形となっています。

一方で、自家用高級車を事業用として税負担を逃れるといった脱税の温床とならないように、税優遇を希望する事業主に事業引き継ぎの「承継計画」を求めたり、これを都道府県がチェックする体制が予定(認定支援機関も関与?)されています。

詳細は、今年の12月半ばに予定されている「平成31年度(2019年度)税制改正大綱」までお待ちください。

執筆者情報

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今村仁

マネーコンシェルジュ税理士法人 代表 

会計事務所を経験後ソニー株式会社に勤務。その後2003年今村仁税理士事務所を開業、2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。相続承継M&Aセンター株式会社、代表取締役社長。税理士・宅地建物取引主任者・CFP等

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さて、日経新聞の2018年11月4日付けにて、下記の記事が掲載されました。===================================個人の事業承継への税優遇、都道府県が審査 経産省案 経済産業省は税制改正で検討している個人事業主の事業承継への税優遇について、適用の条件に都道府県による認定を盛り込む案を固めた。事業主がまとめる「承継計画」を都道府県が認める場合のみ、贈与税などを猶予する。個人の資産を事業用と偽るような悪質な節税が横行しないようにする。2019年度の税制改正で経産省は、個人事業主が子供などに事業を引き継ぐときに贈与税などの支払いを猶予する「個人版事業承継税制」の創設を求めている。土地や建物・機械設備などをすべて対象にして、事業主が生きている間であれば贈与税を、亡くなった場合は相続税を猶予する仕組みだ。10年間の時限措置にする。ただ、税優遇の対象が広いため、自家用の高級車を「事業用」として税負担を逃れるといった節税に使われる恐れがある。経産省は不適切な節税を防ぐため、税優遇を希望する事業主に事業引き継ぎの「承継計画」を求める。これを都道府県がチェックする体制として制度が適正に運用されるようにする。個人事業主については現在も店舗などに使う小規模な土地は相続税を8割減税する特例がある。経産省は新たな事業承継税制は、既存の特例との選択制にすることを提案する。自民党税制調査会で協議したうえで、12月にまとめる19年度の与党税制改正大綱に盛り込むかどうかを判断する。税逃れを厳しく監視する立場にある財務省とも調整を進める。===================================
2018.11.20 16:33:09