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駅付近の幹線道路沿いの土地が広大地是認された例

税務 相続
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 今回の、更正の請求事案の事実事項を確認しますと、評価対象地は千葉県北西部に所在し、最寄駅より徒歩約2分、指定容積率・基準容積率ともに200%、地積約1,050㎡で、現況は駐車場として利用されていました。評価対象地は幹線道路(幅員約18mの国道)沿いに存し、同幹線沿いには店舗、一般住宅、駐車場等が混在する地域です。

<周辺状況図>

 今回のポイントは本件評価対象地の「最有効使用」が①店舗用地及び②分譲マンション用地ではない旨を説明することでした。
 不動産鑑定評価基準によると、最有効使用とは、仮に当該土地を売りに出した場合において、競合する購入者のうち、最も高い価格を提示できる利用方法をいいます。この考え方を基準として今般の事例の最有効使用を見ていきましょう。

①店舗適地か否か

 評価対象地が北側で接面する国道の相続税路線価の地区区分は「普通住宅地区」に指定されており、現地調査においても当該路線沿いは繁華性が低く、今後についても路線商業地域を形成するまでには至らないものと思料されました。
 そこで、評価対象地の周辺における店舗利用状況や市場調査を役所等において行なったところ、周辺に存する店舗は、いずれも旧来からの地主やその同族法人が土地の有効活用として店舗用途としているのであり、店舗用地としての売買需要はほぼないものであることが解りました。
 さらに、周辺における戸建分譲開発の事例の収集を行ったところ、評価対象地の隣地が近年に戸建分譲地として売買されていることを確認しました。よって、近隣地域に係る土地の売買市場における需要の中心は、店舗用途ではなく住宅用途が有力であるものと判断され、賃貸市場として、店舗の需要は認められるものの、土地を購入して、さらに店舗の建物を建設して、投資採算が取れる地域ではないので、店舗を建設することを前提とする土地取引はその地域における典型的な土地取引とは考えられず、地域の価格水準を形成する標準的使用とは言えないと判断しました。

②分譲マンション適地か否か

 これらの事実から、評価対象地が存する路線沿いは、住商混在地域から住宅地域へとより純化していく地域であり、100㎡程度の一般住宅の敷地として使用することを前提とした土地取引が典型的で、その地域の価格水準を形成していると判断できるわけです(標準的使用)。
 ここで、2つ目のポイントとなるのが、標準的使用が一般住宅の敷地になるとしても、評価対象地の規模、なにより最寄駅から徒歩約2分という好立地に位置していることを踏まえると、最有効使用が「マンション適地」に該当するのではないかということです。
 しかし、当事務所で地元不動産業者等にヒアリングをしたところでは、評価対象地の存する地域で相続時点現在の市況においては、どんなに画地規模が大きかったとしても分譲マンションの建設は難しいとの回答があり、実際に市場分析をしてみた結果でも、評価対象地の周辺では相続時点から5年前以降に建設された分譲マンションは1件も確認することができませんでした。
 したがって、相続時点現在の市況では分譲マンション業者からの需要は弱いものと考えられ、以上の理由から評価対象地の最有効使用を分譲マンション用地ではないと判断しました。
 以上、評価対象地の形状及び法令、相続時点現在の市況等から総合的に検討した結果、当事務所では評価対象地の最有効使用を「戸建分譲用地」であると判断しました。
 そして、広大地鑑定書を作成・添付の上、更正の請求を行った結果、税務上の広大地に該当すると判断され、是認されました。
 今般の事例のように、駅から徒歩約2分の幹線道路沿いに存する土地でも、広大地として認められるケースがあります。そのためには、今回の当事務所のように、評価対象地の周辺の利用状況や売買事例、市況等を細かく調査し、評価対象地が広大地である根拠をしっかりと明示・主張することが重要です。すなわち、こうした土地につき広大地評価が認められるか否かについては、納税者側の土地評価の専門的な知識を取り入れた説明能力に懸かっていると言わざるを得ません。
 当事務所では、先生方が既に申告を済まされた案件について、リスクが高いために広大地評価の適用を見送った、他にも土地の減価要因を見落としていたのではないか等の理由による更正の請求のご相談も受け付けておりますのでお気軽にご連絡ください。


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執筆者情報

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沖田豊明

沖田不動産鑑定士・税理士事務所

埼玉県川口市にて平成11年に開所して以来、不動産オーナー様の相続案件に特化してまいりました。土地評価についてお悩みの税理士先生のための税理士事務所として、税務のわかる鑑定士として、同業者の皆様方と協業して、不動産オーナー様の相続問題解決に日々取り組んでおります。

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 今回の、更正の請求事案の事実事項を確認しますと、評価対象地は千葉県北西部に所在し、最寄駅より徒歩約2分、指定容積率・基準容積率ともに200%、地積約1,050㎡で、現況は駐車場として利用されていました。評価対象地は幹線道路(幅員約18mの国道)沿いに存し、同幹線沿いには店舗、一般住宅、駐車場等が混在する地域です。
2018.10.18 16:39:55