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平成29年の「地価公示」について

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 地価公示とは、国土利用計画法による土地取引の規制を適正かつ円滑に実施するため、国土利用計画法施行令第9条に基づき、国土交通省が毎年1回全国の標準地(平成29年は全国26,000地点、うち東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示区域内の12地点については調査を休止)について不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、これを審査・調整し、一定の基準日(1月1日)における正常価格を公表するものです。これは、都道府県知事が行う都道府県地価調査(毎年7月1日時点)とあわせて一般の土地取引の指標ともなっています。
 平成29年1月1日時点の地価公示によると、全国平均では、全用途平均は2年連続の上昇となっており、用途別では、住宅地が9年ぶりに下落を脱して横ばいに転じました。商業地は2年連続で上昇しています。
 一方で、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)においては、住宅地は大阪圏が昨年の上昇から横ばいとなった以外、ほぼ前年並みの小幅な上昇を示しており、商業地は名古屋圏を除き上昇基調を強めています。
 また、地方圏をみますと、地方四市(札幌、仙台、広島、福岡)では全ての用途で三大都市圏を上回る上昇を示しています。地方圏のその他の地域においては全ての用途で下落幅が縮小しています。
 都道府県地価調査(7月1日時点の調査)との共通地点で半年毎の地価動向をみますと、全国の住宅地は前半・後半ともに0.4%の上昇となっており、商業地は前半1.3%、後半1.4%の上昇となっております。
 都道府県別にみますと、住宅地の上昇率は沖縄県が3.0%で全国1位となり、商業地の上昇率は大阪府が5.0%で全国1位となりました。調査地点別の上昇率においては、住宅地では上位4位までを仙台市(上位10地点中7地点)が占め、商業地では大阪市が1~5位を占めています。

 次に、住宅地と商業地に分けて見ていきたいと思います。
≪住宅地≫
 全国的に雇用情勢の改善が続く中、住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支え効果もあって、住宅地の地価は総じて底堅く推移しており、上昇の継続又は下落幅の縮小が見られます。
 東京圏の平均変動率は4年連続して小幅な上昇となりました。
 東京都は23区全体で3.0%上昇となっており、23区では、全ての区において上昇を続けています。中心区では特に高い上昇率を示しているものの、上昇幅は昨年より縮小しており、中心区以外では、上昇幅が昨年より拡大した区が多く見られます。
≪商業地≫
 再開発事業等の進展による繁華性の向上や外国人観光客を始めとする国内外からの来街者の増加等を背景に、主要都市の中心部などでは店舗、ホテル等の進出意欲が旺盛であり、また、オフィスについても空室率は概ね低下傾向が続き、一部地域では賃料の改善が見られるなど、総じて商業地としての収益性の高まりが見られます。こうした中、金融緩和による法人投資家等の資金調達環境が良好なこと等もあって、不動産投資意欲は旺盛であり、商業地の地価は総じて堅調に推移しています。
 東京圏の平均変動率は4年連続の上昇となり、上昇幅も昨年より拡大しています。
 特に東京都は、23区全体で5.5%上昇しており、全ての区が上昇を続け、上昇幅が昨年より拡大した区が多く見られました。
 また、三大都市圏の3.3%に対し、地方四市が6.9%と大幅に上回っており、下落が続く他の地方圏との二極化がさらに拡大した結果となりました。
 以上、首都圏や主要都市の住宅地の上昇が鮮明となり、マンション用地の確保すら難しくなる中、デベロッパーは地方の中核都市への進出を活発化している模様です。現在までマンション業者が触手しなかった土地であっても、立地条件等によっては、マンション業者の需要が見込まれるような事象が生じる可能性がありますので、広大地の判定に際して、今後はさらに新築マンションの建設動向にも十分ご注意下さい。


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執筆者情報

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沖田豊明

沖田不動産鑑定士・税理士事務所

埼玉県川口市にて平成11年に開所して以来、不動産オーナー様の相続案件に特化してまいりました。土地評価についてお悩みの税理士先生のための税理士事務所として、税務のわかる鑑定士として、同業者の皆様方と協業して、不動産オーナー様の相続問題解決に日々取り組んでおります。

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 地価公示とは、国土利用計画法による土地取引の規制を適正かつ円滑に実施するため、国土利用計画法施行令第9条に基づき、国土交通省が毎年1回全国の標準地(平成29年は全国26,000地点、うち東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示区域内の12地点については調査を休止)について不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、これを審査・調整し、一定の基準日(1月1日)における正常価格を公表するものです。これは、都道府県知事が行う都道府県地価調査(毎年7月1日時点)とあわせて一般の土地取引の指標ともなっています。 平成29年1月1日時点の地価公示によると、全国平均では、全用途平均は2年連続の上昇となっており、用途別では、住宅地が9年ぶりに下落を脱して横ばいに転じました。商業地は2年連続で上昇しています。  一方で、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)においては、住宅地は大阪圏が昨年の上昇から横ばいとなった以外、ほぼ前年並みの小幅な上昇を示しており、商業地は名古屋圏を除き上昇基調を強めています。  また、地方圏をみますと、地方四市(札幌、仙台、広島、福岡)では全ての用途で三大都市圏を上回る上昇を示しています。地方圏のその他の地域においては全ての用途で下落幅が縮小しています。  都道府県地価調査(7月1日時点の調査)との共通地点で半年毎の地価動向をみますと、全国の住宅地は前半・後半ともに0.4%の上昇となっており、商業地は前半1.3%、後半1.4%の上昇となっております。  都道府県別にみますと、住宅地の上昇率は沖縄県が3.0%で全国1位となり、商業地の上昇率は大阪府が5.0%で全国1位となりました。調査地点別の上昇率においては、住宅地では上位4位までを仙台市(上位10地点中7地点)が占め、商業地では大阪市が1~5位を占めています。
2018.09.26 14:38:51