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上場会社に求められる大株主の不祥事への対応能力

経営
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 株式会社TATERU(東証市場第一部)は9月4日、同社従業員が顧客から提供を受けた預金残高データを改ざんし、実際より多く見せて西京銀行に提出し、顧客が融資審査を通りやすくしていた事実が判明したことを公表した。同社は弁護士を中心とした特別調査委員会を設置し、調査を開始している。融資審査のすり抜けに関してはスルガ銀行の問題が大きく取り沙汰されて社会問題化しているだけに、第二のスルガ銀行問題に発展するのではないか注目されている。

 一方、思わぬ“とばっちり”を受けたのが、本年(2018年)7月25日にマザーズに上場したばかりのGA technologies(中古不動産のポータルサービス「Renosy」の開発・運営等)だ。TATERUは同社の発行済株式数の7.05%を保有する大株主であり(2018年4月30日時点)、GA technologiesも顧客の融資手続きをサポートする部署があることから、連想売りを招いた模様。GA technologiesは「(TATERUとは)業務提携等行ってはおらず、現状において当社の業績に与える影響はございません。また、TATERUが保有する当社株式につきましては、平成30年7月25日に当社が東京証券取引所マザーズに上場するに際し、TATERUが主幹事会社に対し上場日後180日目の平成31年1月20日までの期間中、主幹事の事前の書面による同意なしには当社株式の売却を行わない旨合意しております」とのリリースを出している。 GA technologiesがリリースしたのはTATERUが特別調査委員会の設置をリリースした日(9月4日)の翌日(9月5日)であるが、最初の新聞報道(8月31日)から起算すると5日後であった。

 また、マザーズ上場のグローバル・リンク・マネジメント(不動産分譲・マンション経営・中古販売・賃貸管理・リノベーション)もTATERUが同社の大株主兼業務提携先であるが「業務提携範囲はIT領域の一部のみであり、現状において当社の業績に与える影響はありません」「当社の顧客マンション投資家の融資審査においては、同様の状況は存在しないと認識しています。当社では、専門の部署である契約管理課が、融資審査書類を確認・管理しており、内部監査室による内部監査報告においても、契約管理業務が適正である旨の報告を受けています」とのリリースを出している。こちらは最初の報道から3日後の対応であった。

 上場会社は自社の企業価値を守るためマイナスイメージの連鎖を防がなければならない。大株主の不祥事への迅速な対応もリスクマネジメントの対象として平時において検討しておくべき課題と言えよう。



この記事の執筆者

日本IPO実務検定協会
財務報告実務検定事務局

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 株式会社TATERU(東証市場第一部)は9月4日、同社従業員が顧客から提供を受けた預金残高データを改ざんし、実際より多く見せて西京銀行に提出し、顧客が融資審査を通りやすくしていた事実が判明したことを公表した。同社は弁護士を中心とした特別調査委員会を設置し、調査を開始している。融資審査のすり抜けに関してはスルガ銀行の問題が大きく取り沙汰されて社会問題化しているだけに、第二のスルガ銀行問題に発展するのではないか注目されている。  一方、思わぬ“とばっちり”を受けたのが、本年(2018年)7月25日にマザーズに上場したばかりのGA technologies(中古不動産のポータルサービス「Renosy」の開発・運営等)だ。TATERUは同社の発行済株式数の7.05%を保有する大株主であり(2018年4月30日時点)、GA technologiesも顧客の融資手続きをサポートする部署があることから、連想売りを招いた模様。GA technologiesは「(TATERUとは)業務提携等行ってはおらず、現状において当社の業績に与える影響はございません。また、TATERUが保有する当社株式につきましては、平成30年7月25日に当社が東京証券取引所マザーズに上場するに際し、TATERUが主幹事会社に対し上場日後180日目の平成31年1月20日までの期間中、主幹事の事前の書面による同意なしには当社株式の売却を行わない旨合意しております」とのリリースを出している。 GA technologiesがリリースしたのはTATERUが特別調査委員会の設置をリリースした日(9月4日)の翌日(9月5日)であるが、最初の新聞報道(8月31日)から起算すると5日後であった。 また、マザーズ上場のグローバル・リンク・マネジメント(不動産分譲・マンション経営・中古販売・賃貸管理・リノベーション)もTATERUが同社の大株主兼業務提携先であるが「業務提携範囲はIT領域の一部のみであり、現状において当社の業績に与える影響はありません」「当社の顧客マンション投資家の融資審査においては、同様の状況は存在しないと認識しています。当社では、専門の部署である契約管理課が、融資審査書類を確認・管理しており、内部監査室による内部監査報告においても、契約管理業務が適正である旨の報告を受けています」とのリリースを出している。こちらは最初の報道から3日後の対応であった。 上場会社は自社の企業価値を守るためマイナスイメージの連鎖を防がなければならない。大株主の不祥事への迅速な対応もリスクマネジメントの対象として平時において検討しておくべき課題と言えよう。
2018.09.18 09:35:00