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新しくなった事業承継税制とは?パート1

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中小企業の株には担税力が無い

相続税や贈与税の最高税率は、現在共に「55%」です。

例えば、お父さんが亡くなって1,000の財産をもらっても、マックス1,000×55%=550の税金が取られて、手残りは1,000-550=450となることがあります。

とはいえ、この1,000の財産がキャッシュであれば、550の相続税や贈与税は支払うことが可能です。
そもそも相続も贈与も、受け取る側からすると、タナボタ的側面もあろうかと思いますので、たとえ手残り450でも良しとしなければならないのもしれません。

しかし、この1,000の財産が親が経営する中小企業の株式だったら、どうでしょうか。

中小企業の株式は、未上場ですから誰かに売って換金することはほぼ不可能ですし、今後の経営を考えても安易に実行するべきではありません。

中小企業の株式を担保にお金を借りるのも現実的ではありません。

つまり、1,000の中小企業株式を相続や贈与でもらって550の税金を払えといわれても、通常は、そのお金がありませんので払えません。

そこで出てきたのが、「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)」です。

新しくなった事業承継税制とは?

事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。

平成30年度税制改正では、この事業承継税制について、これまでの措置に加え、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の3分の2まで)の撤廃や、納税猶予割合の引上げ(80%から100%)等がされた「特例措置」が創設されました。

平成30年度税制改正前の制度を、「一般措置」といいます。

特例承継計画を期限内に提出することが重要

特例措置の適用を受けるためには、以下の2点を満たしていることが必要です。

1.平成30年4月1日から平成35年3月31日までに、都道府県庁に「特例承継計画」を提出し、確認を受けていること

2.平成30年1月1日から平成39年12月31日までに、贈与・相続(遺贈を含む)により自社の株式等を取得すること

なお、平成29年12月31日以前に贈与・相続等により株式を取得した場合、特例措置を受ける(あるいは一般措置から特例措置へ切り替える)ことはできません。

続きは次回にて。

執筆者情報

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今村仁

マネーコンシェルジュ税理士法人 代表 

会計事務所を経験後ソニー株式会社に勤務。その後2003年今村仁税理士事務所を開業、2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。相続承継M&Aセンター株式会社、代表取締役社長。税理士・宅地建物取引主任者・CFP等

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相続税や贈与税の最高税率は、現在共に「55%」です。例えば、お父さんが亡くなって1,000の財産をもらっても、マックス1,000×55%=550の税金が取られて、手残りは1,000-550=450となることがあります。とはいえ、この1,000の財産がキャッシュであれば、550の相続税や贈与税は支払うことが可能です。そもそも相続も贈与も、受け取る側からすると、タナボタ的側面もあろうかと思いますので、たとえ手残り450でも良しとしなければならないのもしれません。しかし、この1,000の財産が親が経営する中小企業の株式だったら、どうでしょうか。中小企業の株式は、未上場ですから誰かに売って換金することはほぼ不可能ですし、今後の経営を考えても安易に実行するべきではありません。中小企業の株式を担保にお金を借りるのも現実的ではありません。つまり、1,000の中小企業株式を相続や贈与でもらって550の税金を払えといわれても、通常は、そのお金がありませんので払えません。そこで出てきたのが、「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)」です。
2018.09.07 16:26:45