2つ以上の用途に供されている同一建物に適用の耐用年数は
リエ「知り合いの人で、今度、店舗併用住宅を建てて賃貸に出すみたいなんですけど、減価償却費の計算に使用する耐用年数はどうなるんですか。鉄筋コンクリート造だとすると、住居用は47年、店舗用は39年の耐用年数になると思うんですけど、住居部分と店舗部分で別々に耐用年数を使用して計算するのかな~。」
黒田「1棟貸しですか~、凄いですね。建物の1階が店舗や事務所で、2階以上の部分が住居になっている賃貸マンション等をよく見かけますよね。では、今回のような場合の減価償却費に使用する耐用年数についてご説明します。」
リエ「よろしくお願いします。」
黒田「そもそも、建物の減価償却費の計算に使用する耐用年数は、その建物の『構造』と『用途』によって決まりますが、同一の減価償却資産について、その用途により異なる耐用年数が定められている場合において、その減価償却資産が2つ以上の用途に供されているときは、その減価償却資産の用途については、その使用目的、使用の状況等により勘案して合理的に判定することになっています。」
リエ「う~ん、ちょっと難しいな~。」
黒田「簡単に言いますと、1つの建物が2つ以上の用途に使用されていたとしても、その用途ごとに別々の耐用年数を使用して減価償却をするのではなく、あくまでも建物全体の使用目的等により勘案し判定した、主たる用途の耐用年数を適用して減価償却費の計算をするということです。」
リエ「あっ、なるほど~。例えば、今回の店舗併用住宅が5階建(鉄筋コンクリート造の場合)で1階が店舗、2階以上が住居となっている場合、使用面積等をみて住居が主たる使用目的と判定できれば、店舗部分を含めた建物全体に耐用年数47年が適用され減価償却を行うわけですね。」
黒田「そういうことです。これが原則になります。また、建物の地下等に設けられている電気室や機械室、駐車場等のようにその建物の機能を果たすために必要な補助的部分(専ら区分した用途に供されている部分を除く)については、これを用途ごとに区分しないで、当該建物の主たる用途について定められている耐用年数を適用することになります。」
リエ「へぇ~、そうなんですね。」
黒田「先程、1つの耐用年数のみを使用するのが原則とお伝えしましたが、例外もあるんです。」
リエ「えっ、それは何ですか?」
黒田「1つの建物を2つ以上の用途に使用するために、当該建物の一部について特別な内部造作をしている場合には、その建物を用途ごとに区分して、その用途について定められている耐用年数をそれぞれ適用することができます(2つ以上の用途に使用される建物に適用する耐用年数の特例)。」
リエ「そういった例外もあるんですね。勉強になりました!」