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土地区画整理事業の工事が進行中の土地の評価について

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 今回の事案の事実事項を確認しますと、評価対象地は埼玉県内に所在し、最寄駅より徒歩12分程度、用途地域は準住居地域で、容積率が200%、地積1,709㎡で、被相続人が所有する自宅が建っています。評価対象地の周辺では、土地区画整理事業の工事が進行中で、税務署からの個別評価の回答では、仮換地で評価するように指示が来ました。
 評価対象地は仮換地(換地後)の形状を基に評価するため、仮換地の土地の形状や接道条件を確認しますと、形状は略整形で、北側の幅員24mの幹線道路と南側の幅員6mの道路に接道しています。

 尚、相続時点における周囲の状況は、区画整理の工事が施行中である為、建物としては旧来から建っている農家住宅が残っているだけに過ぎず、店舗や共同住宅も存在しません。
 本件のポイントとしては、換地後は幅員24mの幹線道路沿いの敷地になる事から、標準的使用が一般住宅地か店舗のどちらか、という点です。本件の場合、仮換地で評価するものとされているため、換地後の形状を基に検討する必要がありますが、評価対象地が接道する幹線道路は相続時点で一部開通しておらず、道路の形態も成していない部分があったので、評価対象地周辺にはまだ当該幹線道路を接道要件とする建物が存在しておりません。従って、評価対象地の周辺を見ただけでは標準的使用の判断を行うのは難しいと思われました。
 そこで、当該幹線道路を詳細に調査すると、この幹線道路は大通りとして駅の目の前まで通る予定となっており、駅の近くの部分については道路が完成していて、その完成した部分に接する一部の街区に関しては数年前に使用収益が開始されたことが分かりました。

 この使用収益が開始されている街区の土地利用を調べると、まだ利用されていない土地も多く見受けられましたが、地主の有効活用としての共同住宅が建築されていたり、戸建分譲地として売りに出されたりしていることが分かりました。また、評価対象地から少し離れた場所に、さらに広幅員の国道が既に存在しており、店舗用地としての需要はその国道沿いに集中している傾向にある事も分かりました。
 これらの事から、評価対象地が接道する幹線道路沿いでは今後も店舗用地として土地が売買される見込みは低いものと判断し、標準的使用は一般住宅地である旨の広大地鑑定書を作成し、申告しました。

 土地区画整理事業は、その性質上、周囲の利用状況が刻々と動いていくため、広大地を考える場合には、周辺の状況や行政的な条件等、特に注意する必要があります。一見するだけでは広大地に該当しない土地でも、周辺の状況や事例を検討することにより広大地に該当する土地も存在します。もし、広大地や土地評価に関して判断に悩まれることがございましたら、お気軽にご連絡ください。


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埼玉県川口市本町4-1-6 第1ビル4階
TEL:048-228-2501
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執筆者情報

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沖田豊明

沖田不動産鑑定士・税理士事務所

埼玉県川口市にて平成11年に開所して以来、不動産オーナー様の相続案件に特化してまいりました。土地評価についてお悩みの税理士先生のための税理士事務所として、税務のわかる鑑定士として、同業者の皆様方と協業して、不動産オーナー様の相続問題解決に日々取り組んでおります。

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 今回の事案の事実事項を確認しますと、評価対象地は埼玉県内に所在し、最寄駅より徒歩12分程度、用途地域は準住居地域で、容積率が200%、地積1,709㎡で、被相続人が所有する自宅が建っています。評価対象地の周辺では、土地区画整理事業の工事が進行中で、税務署からの個別評価の回答では、仮換地で評価するように指示が来ました。 評価対象地は仮換地(換地後)の形状を基に評価するため、仮換地の土地の形状や接道条件を確認しますと、形状は略整形で、北側の幅員24mの幹線道路と南側の幅員6mの道路に接道しています。
2018.08.21 16:43:11