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辞職(退職)の自由について

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 弁護士の関です。

 労働事件に関する主な相談内容としては、残業代請求や解雇、パワハラ・セクハラ等が挙げられますが、意外に多いご相談が、「現在勤めている会社を辞めたいのですが・・・」という退職(辞職)に関するものです。逆に言えば、もしかしたら税理士の先生にも、経営者からの税務に関する相談の中で、最近会社を辞めたいと言っている従業員がいるといったご相談がよくあるのかもしれません。

 皆様の中には、辞めればいいじゃないか、とお考えになる方もいらっしゃるかと思いますが、実は円滑に退職することはなかなか難しいものです。例えば、人手が足りないので今辞められたら困る、今まで会社に迷惑をかけた分、●●万円を支払わないと辞めさせない等と会社から言われ、なかなか退職できないといった労働者の方は実際にいらっしゃいます。

 勿論、今までお世話になった会社ですから、労働者側も使用者(会社)側もできる限り円満に退職したい、させたいと考えることは当然です。その意味でも、まずは労働者から会社に退職希望をしっかりと伝えた上で、適切な退職時期について話し合うのが筋でしょう。

 しかしながら、それでも円満に退職することが難しい場合は以下のことを参考にされてください。

 そもそも退職の中でも辞職は、労働者による一方的な労働契約の解約ですので、原則として自由であり、使用者による承諾を必要としません。これを辞職(退職)の自由といいます。
したがって、これまで私が散々述べてきた「会社が辞めさせてくれない」等の表現自体が、そもそも辞職につき会社による同意等を必要としない以上、正確にいえば間違いです。

 もっとも、期間の定めのない労働契約に関しては、民法627条により原則として2週間前の予告が必要とされています。つまり、内容証明郵便等による労働者側の辞職の意思表示が使用者(会社)に到達してから2週間経過した時点で、原則として当該労働契約は(会社の同意等を必要とすることなく)終了する=辞職できることとなります。

 (なお、民法は期間の定めのある労働契約の終了についても定めておりますし、また労働契約を労働者・使用者双方の合意により解約する場合もございますが、文量の関係上この記事では割愛させていただきます)。

 さらに、労働基準法16条は、労働者の辞職の自由を確保する趣旨で、労働契約における違約金、損害賠償の予定を禁止しています。例えば、美容室の従業員が「勝手わがまま」に退職した場合には、同従業員の採用時に遡って月額4万円の講習手数料を支払う内容の契約が、同条に違反し無効との判断がなされたことがあります(サロン・ド・リリー事件。浦和地裁昭和61年5月30日判決・労働判例489-85)。

 勿論これまで述べたことはあくまで一般論や過去の事例に過ぎず、辞職に際しての会社との関係には様々な事情が存在するでしょう。実際、辞職すると会社に何らかの損害が生じるケースかもしれません。また、いきなり内容証明郵便を送りつけて、同郵便が会社に到達してから2週間後に辞職しますとの申出には、多くの労働者の方が抵抗を覚えるかと思います。

 したがいまして、これまでも述べましたように、退職をご希望される労働者は、まずは会社とよく協議されてください。そしてそれでもなお、円滑な退職が困難な場合は、労働者、使用者双方ともに弁護士等の専門家にご相談することをお勧めいたします。



執筆者情報

代表社員弁護士 関 五行

弁護士法人ALAW&GOODLOOP

会計事務所向け法律顧問
会計事務所向けセミナー

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 弁護士の関です。 労働事件に関する主な相談内容としては、残業代請求や解雇、パワハラ・セクハラ等が挙げられますが、意外に多いご相談が、「現在勤めている会社を辞めたいのですが・・・」という退職(辞職)に関するものです。逆に言えば、もしかしたら税理士の先生にも、経営者からの税務に関する相談の中で、最近会社を辞めたいと言っている従業員がいるといったご相談がよくあるのかもしれません。 皆様の中には、辞めればいいじゃないか、とお考えになる方もいらっしゃるかと思いますが、実は円滑に退職することはなかなか難しいものです。例えば、人手が足りないので今辞められたら困る、今まで会社に迷惑をかけた分、●●万円を支払わないと辞めさせない等と会社から言われ、なかなか退職できないといった労働者の方は実際にいらっしゃいます。 勿論、今までお世話になった会社ですから、労働者側も使用者(会社)側もできる限り円満に退職したい、させたいと考えることは当然です。その意味でも、まずは労働者から会社に退職希望をしっかりと伝えた上で、適切な退職時期について話し合うのが筋でしょう。 しかしながら、それでも円満に退職することが難しい場合は以下のことを参考にされてください。 そもそも退職の中でも辞職は、労働者による一方的な労働契約の解約ですので、原則として自由であり、使用者による承諾を必要としません。これを辞職(退職)の自由といいます。したがって、これまで私が散々述べてきた「会社が辞めさせてくれない」等の表現自体が、そもそも辞職につき会社による同意等を必要としない以上、正確にいえば間違いです。 もっとも、期間の定めのない労働契約に関しては、民法627条により原則として2週間前の予告が必要とされています。つまり、内容証明郵便等による労働者側の辞職の意思表示が使用者(会社)に到達してから2週間経過した時点で、原則として当該労働契約は(会社の同意等を必要とすることなく)終了する=辞職できることとなります。 (なお、民法は期間の定めのある労働契約の終了についても定めておりますし、また労働契約を労働者・使用者双方の合意により解約する場合もございますが、文量の関係上この記事では割愛させていただきます)。 さらに、労働基準法16条は、労働者の辞職の自由を確保する趣旨で、労働契約における違約金、損害賠償の予定を禁止しています。例えば、美容室の従業員が「勝手わがまま」に退職した場合には、同従業員の採用時に遡って月額4万円の講習手数料を支払う内容の契約が、同条に違反し無効との判断がなされたことがあります(サロン・ド・リリー事件。浦和地裁昭和61年5月30日判決・労働判例489-85)。 勿論これまで述べたことはあくまで一般論や過去の事例に過ぎず、辞職に際しての会社との関係には様々な事情が存在するでしょう。実際、辞職すると会社に何らかの損害が生じるケースかもしれません。また、いきなり内容証明郵便を送りつけて、同郵便が会社に到達してから2週間後に辞職しますとの申出には、多くの労働者の方が抵抗を覚えるかと思います。 したがいまして、これまでも述べましたように、退職をご希望される労働者は、まずは会社とよく協議されてください。そしてそれでもなお、円滑な退職が困難な場合は、労働者、使用者双方ともに弁護士等の専門家にご相談することをお勧めいたします。
2018.07.31 16:08:00