「保証」をするのであれば引当金の検討が必須
保証会社のように「保証」そのものを生業としていない業種であっても、製造業や小売業のように顧客に安心を付与することで本業の売上を拡大することを目的として「保証」が行われることは少なくない。そのような場合に、会計上考慮が必要になるのが、製品(商品)保証損失引当金である。下記のように、期末時点で保証期間内に見込まれる損失(修理や代替品の提供)を見積もり、当期の費用に相当する分を引当計上することになる。
「製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い過去の実績を基礎に将来の保証見込みを加味して計上」(製品保証引当金:三菱自動車工業)
「販売商品のアフターサービスに対する費用支出に備えるため、保証期間内のサービス費用見込額を過去の実績を基礎にして計上」(販売商品保証引当金:株式会社ノジマ)
最近上場承認が下りた企業の中には、次のように変わった引当金を計上しているところもある。
「個別指導塾の運営において将来の無償による授業提供に係る費用に備えるため、過去の成績保証実績を勘案して見積もった費用見込額の等事業年度負担額を計上」(成績保証引当金:スプリックス)
「アフター保証が付帯された契約について、合理的な見積可能期間内に発生が見込まれる損失の額に対して損失見込額を計上」(アフター保証引当金:GA technologies)
経理担当者としては、新たに「保証」についての話が持ち上がったら「引当金の計上の必要はないか」という視点で検討をするようにしたい。