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政府のガバナンス・開示関連の政策の方向性

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 ガバナンスコードが改正されたり有価証券報告書の記載事項が改正されたりとガバナンス・開示関連の制度改正が活発になっている。そういった制度改正の動きの多くが「未来投資戦略」に盛り込まれている。

 6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」では、コーポレートガバナンス改革、建設的な対話のための情報開示の質の向上、会計・監査の質の向上を図る次のような政策が示されている(130ページを参照)。

■コーポレートガバナンス改革
・環境変化に応じた経営判断、戦略的・計画的な投資、客観性・適時性・透明性あるCEOの選解任、取締役会の多様性確保(ジェンダーや国際性の面を含む)、政策保有株式の縮減、企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮等の課題に係る状況をフォローアップしつつ、投資の流れにおける各主体の機能発揮に向けた方策を検討する。
・企業グループ全体の価値向上を図る観点から、グループ経営において「守り」と「攻め」両面でいかにガバナンスを働かせるか、事業ポートフォリオをどのように最適化するかなど、グループガバナンスの在り方に関する実務指針を来年春頃を目途に策定する。
・自社株対価のM&Aの促進のため、産業競争力強化法改正により創設された税制・会社法に関する特例措置の利用を促すとともに、会社法において、自社株対価M&Aに関する新たな規律を設けることについて、法制審議会に設置した部会において検討を行い、本年度中に結論を得る。

■建設的な対話のための情報開示の質の向上、会計・監査の質の向上
 投資家の投資判断に必要な情報が十分かつ公平に、分かりやすく提供されるようにするために、来年前半を目途とした、国際的に見て最も効果的かつ効率的な開示の実現及び株主総会日程・基準日の合理的な設定のための環境整備を目指すなどの観点から、関係省庁は引き続き制度・省庁横断的な総合的な検討を行い、以下の取組を進める。
・経営戦略やガバナンス情報等を含む企業と投資家の建設的な対話に資する上場企業の情報開示について、来年前半までを目途に、金融審議会での結論を踏まえた取組を実施するとともに、引き続き、開示の在り方について総合的な検討を行う。
・株主総会の招集通知添付書類の原則電子提供について、法制審議会に設置した部会において検討を行い、本年度中に結論を得る。
・「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」(平成29年12月28日内閣官房、金融庁、法務省、経済産業省策定)を踏まえ、関係省庁は、一体的な開示を行おうとする企業の試行的取組を支援しつつ、一体的開示例・関連する課題等について検討し、本年中に検討内容を公表し、その後速やかに必要な取組を実施する。
・関係機関等と連携し、国際会計基準(IFRS)への移行を容易にするための更なる取組を進めることによりIFRSの任意適用企業の拡大を促進する。
・監査に関する情報提供の充実に向けた更なる取組を検討するとともに、監査法人のローテーション制度について調査研究を行う。

 今後の制度改正の方向性を理解するためには必見の資料と言えるので、開示担当者としてはしっかり目を通すようにしておきたい。

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 ガバナンスコードが改正されたり有価証券報告書の記載事項が改正されたりとガバナンス・開示関連の制度改正が活発になっている。そういった制度改正の動きの多くが「未来投資戦略」に盛り込まれている。  6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」では、コーポレートガバナンス改革、建設的な対話のための情報開示の質の向上、会計・監査の質の向上を図る次のような政策が示されている(130ページを参照)。■コーポレートガバナンス改革・環境変化に応じた経営判断、戦略的・計画的な投資、客観性・適時性・透明性あるCEOの選解任、取締役会の多様性確保(ジェンダーや国際性の面を含む)、政策保有株式の縮減、企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮等の課題に係る状況をフォローアップしつつ、投資の流れにおける各主体の機能発揮に向けた方策を検討する。・企業グループ全体の価値向上を図る観点から、グループ経営において「守り」と「攻め」両面でいかにガバナンスを働かせるか、事業ポートフォリオをどのように最適化するかなど、グループガバナンスの在り方に関する実務指針を来年春頃を目途に策定する。・自社株対価のM&Aの促進のため、産業競争力強化法改正により創設された税制・会社法に関する特例措置の利用を促すとともに、会社法において、自社株対価M&Aに関する新たな規律を設けることについて、法制審議会に設置した部会において検討を行い、本年度中に結論を得る。■建設的な対話のための情報開示の質の向上、会計・監査の質の向上 投資家の投資判断に必要な情報が十分かつ公平に、分かりやすく提供されるようにするために、来年前半を目途とした、国際的に見て最も効果的かつ効率的な開示の実現及び株主総会日程・基準日の合理的な設定のための環境整備を目指すなどの観点から、関係省庁は引き続き制度・省庁横断的な総合的な検討を行い、以下の取組を進める。・経営戦略やガバナンス情報等を含む企業と投資家の建設的な対話に資する上場企業の情報開示について、来年前半までを目途に、金融審議会での結論を踏まえた取組を実施するとともに、引き続き、開示の在り方について総合的な検討を行う。・株主総会の招集通知添付書類の原則電子提供について、法制審議会に設置した部会において検討を行い、本年度中に結論を得る。・「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示のための取組について」(平成29年12月28日内閣官房、金融庁、法務省、経済産業省策定)を踏まえ、関係省庁は、一体的な開示を行おうとする企業の試行的取組を支援しつつ、一体的開示例・関連する課題等について検討し、本年中に検討内容を公表し、その後速やかに必要な取組を実施する。・関係機関等と連携し、国際会計基準(IFRS)への移行を容易にするための更なる取組を進めることによりIFRSの任意適用企業の拡大を促進する。・監査に関する情報提供の充実に向けた更なる取組を検討するとともに、監査法人のローテーション制度について調査研究を行う。  今後の制度改正の方向性を理解するためには必見の資料と言えるので、開示担当者としてはしっかり目を通すようにしておきたい。
2018.07.09 16:48:27