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高校生等への就学支援金

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リエ「黒田さんこんにちは、少しお聞きしてもよろしいですか?」

黒田「りえちゃん、ちょうど今月の監査がひと段落したところです。どうしましたか?」

リエ「親戚の子供が中学三年生の受験生なんですが、どうも私立高校で行きたいところがあるそうなんです。ただ、私立なので学費のことをとても心配していたので、ご存知だったら教えてほしいのですが、高校は公立も私立も無償になったのではないのですか?」

黒田「受験生ですか、それは大変ですね。旧民主党政権の目玉政策として『公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律』が平成22年3月31日に成立し、同年4月1日より施行されましたね。具体的には、公立高等学校については、原則として授業料を徴収しないこととし、私立高等学校等の生徒については、就学支援金として授業料に充てるために一定額を支給するというものです。」

リエ「高等学校に通っている生徒は全員対象なのですか?」

黒田「はい、この22年に施行された法律では、対象となる学校種はありますが、保護者の所得にかかわらず、一定の受給資格を満たすすべての生徒が対象でした。」

リエ「『でした』ということは、今はすべての生徒ではないということですか?」

黒田「はい、私立高等学校対象の就学支援金には低所得世帯対象の1.5~2倍の加算支給がありましたが、世帯所得の上限はありませんでした。しかし、平成26年4月より新制度となり、名称も『高等学校等就学支援金制度』となりました。」

リエ「どのように変わったのですか?」

黒田「国公私立問わず、所得制限が設けられました。」

リエ「公立に通っている生徒も全員が無償ということではなくなったのですね。」

黒田「はい。新制度の目的は保護者の経済的負担の軽減を図り、公立高校と私立高校の教育費の格差を解消することにより、希望に沿った進路選択ができるようにすることだそうです。」

リエ「具体的な年収を教えてください。」

黒田「正確な基準は住民税額なので、対象となるかどうかなどは住民税の通知で確認する必要がありますが、世帯年収の目安で言いますと、基準の世帯年収が約590万円~910万円で支給月額が9900円となります。約350万円~590万円では1万4850円、約250万円~350万円では1万9800円、約250万円以下では基準額となる9900円の2.5倍の2万4750円となります。世帯年収が910万円以上は対象外となります。」

リエ「この申請はどうしたらいいのですか?」

黒田「各学校を通じて申請手続きをすることが通常ですが、各都道府県で独自の制度を設けてるところもあるようですので、お住いの自治体に問い合わせるといいですね。」

リエ「黒田さん、いつもありがとうございます。共働きのご家庭は対象にならない可能性が高いですね。少し上限が低いような気がします。税金もしっかり払っている世帯だとも思いますが……。早速親戚に連絡をとってみますね。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さんこんにちは、少しお聞きしてもよろしいですか?」黒田「りえちゃん、ちょうど今月の監査がひと段落したところです。どうしましたか?」リエ「親戚の子供が中学三年生の受験生なんですが、どうも私立高校で行きたいところがあるそうなんです。ただ、私立なので学費のことをとても心配していたので、ご存知だったら教えてほしいのですが、高校は公立も私立も無償になったのではないのですか?」黒田「受験生ですか、それは大変ですね。旧民主党政権の目玉政策として『公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律』が平成22年3月31日に成立し、同年4月1日より施行されましたね。具体的には、公立高等学校については、原則として授業料を徴収しないこととし、私立高等学校等の生徒については、就学支援金として授業料に充てるために一定額を支給するというものです。」リエ「高等学校に通っている生徒は全員対象なのですか?」黒田「はい、この22年に施行された法律では、対象となる学校種はありますが、保護者の所得にかかわらず、一定の受給資格を満たすすべての生徒が対象でした。」リエ「『でした』ということは、今はすべての生徒ではないということですか?」黒田「はい、私立高等学校対象の就学支援金には低所得世帯対象の1.5~2倍の加算支給がありましたが、世帯所得の上限はありませんでした。しかし、平成26年4月より新制度となり、名称も『高等学校等就学支援金制度』となりました。」リエ「どのように変わったのですか?」黒田「国公私立問わず、所得制限が設けられました。」リエ「公立に通っている生徒も全員が無償ということではなくなったのですね。」黒田「はい。新制度の目的は保護者の経済的負担の軽減を図り、公立高校と私立高校の教育費の格差を解消することにより、希望に沿った進路選択ができるようにすることだそうです。」リエ「具体的な年収を教えてください。」黒田「正確な基準は住民税額なので、対象となるかどうかなどは住民税の通知で確認する必要がありますが、世帯年収の目安で言いますと、基準の世帯年収が約590万円~910万円で支給月額が9900円となります。約350万円~590万円では1万4850円、約250万円~350万円では1万9800円、約250万円以下では基準額となる9900円の2.5倍の2万4750円となります。世帯年収が910万円以上は対象外となります。」リエ「この申請はどうしたらいいのですか?」黒田「各学校を通じて申請手続きをすることが通常ですが、各都道府県で独自の制度を設けてるところもあるようですので、お住いの自治体に問い合わせるといいですね。」リエ「黒田さん、いつもありがとうございます。共働きのご家庭は対象にならない可能性が高いですね。少し上限が低いような気がします。税金もしっかり払っている世帯だとも思いますが……。早速親戚に連絡をとってみますね。」
2018.07.02 15:28:22