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免税事業者が消費税の還付を受ける場合

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リエ「黒田さん、ちょっと気になることがあったので質問してもいいですか?」

黒田「もちろんいいですよ。何でしょうか?」

リエ「私の知り合いに個人で喫茶店を経営している人がいます。ずっと消費税の納税義務が免除されている免税事業者でした。今年も納税義務は免除されるところ、消費税を支払う課税事業者を選択したそうなのですが、免除が受けられるのに課税事業者を選択する理由はあるのでしょうか?」

黒田「なるほど。ひょっとして何か大きな設備投資をされていませんか?」

リエ「そういえばエスプレッソマシーンとドリップマシーンを新しく入れ替えたと言っていました。総額で80万円くらいかかったそうです。そのほかにも大きな設備投資があったようです。」

黒田「そうですか。設備投資などで一時的に多額の費用が見込まれる場合など、支払う消費税額が多額になりそうな場合には、消費税の還付を受けるために課税事業者を選択する場合があります。」

リエ「どういうことなのでしょうか?」

黒田「課税事業者は受け取った消費税と支払った消費税の差額分を納税しなければなりませんよね。ただ、支払った消費税の方が多ければその差額分の還付を受けることができます。」

リエ「なるほど。免税事業者のままですと、納税は生じないかわりに還付を受けることもできないのですね。何か届け出が必要なのでしょうか?」

黒田「はい。免税事業者が、課税事業者を選択する場合には、消費税課税事業者選択届書を適用したい課税期間の初日の前日※までに提出する必要があります。ただし、課税事業者を選択した場合には、原則として2年間、場合によっては3年間免税事業者に戻ることができないので注意が必要です。また、簡易課税の適用を受ける場合には還付を受けることはできません。」

リエ「ありがとうございました。2年間又は3年間変更できないということはその選択は慎重にする必要がありそうですね。」

※ 当該提出日の属する課税期間が、事業を開始した日の属する課税期間その他の一定の課税期間である場合には、その課税期間の末日。

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さん、ちょっと気になることがあったので質問してもいいですか?」黒田「もちろんいいですよ。何でしょうか?」リエ「私の知り合いに個人で喫茶店を経営している人がいます。ずっと消費税の納税義務が免除されている免税事業者でした。今年も納税義務は免除されるところ、消費税を支払う課税事業者を選択したそうなのですが、免除が受けられるのに課税事業者を選択する理由はあるのでしょうか?」黒田「なるほど。ひょっとして何か大きな設備投資をされていませんか?」リエ「そういえばエスプレッソマシーンとドリップマシーンを新しく入れ替えたと言っていました。総額で80万円くらいかかったそうです。そのほかにも大きな設備投資があったようです。」黒田「そうですか。設備投資などで一時的に多額の費用が見込まれる場合など、支払う消費税額が多額になりそうな場合には、消費税の還付を受けるために課税事業者を選択する場合があります。」リエ「どういうことなのでしょうか?」黒田「課税事業者は受け取った消費税と支払った消費税の差額分を納税しなければなりませんよね。ただ、支払った消費税の方が多ければその差額分の還付を受けることができます。」リエ「なるほど。免税事業者のままですと、納税は生じないかわりに還付を受けることもできないのですね。何か届け出が必要なのでしょうか?」黒田「はい。免税事業者が、課税事業者を選択する場合には、消費税課税事業者選択届書を適用したい課税期間の初日の前日※までに提出する必要があります。ただし、課税事業者を選択した場合には、原則として2年間、場合によっては3年間免税事業者に戻ることができないので注意が必要です。また、簡易課税の適用を受ける場合には還付を受けることはできません。」リエ「ありがとうございました。2年間又は3年間変更できないということはその選択は慎重にする必要がありそうですね。」※ 当該提出日の属する課税期間が、事業を開始した日の属する課税期間その他の一定の課税期間である場合には、その課税期間の末日。
2018.06.18 16:07:10