臨時所得における平均課税制度とは?
リエ「知り合いに土地を賃貸し不動産所得の申告をしている方がいて、今度、借地契約に伴う更新料をもらうみたいなんです。それで、その方がこの更新料については地代収入のように不動産所得とはせずに、平均課税制度を適用して所得税を抑えるみたいなことを言っていたんですけど、平均課税制度ってどういうものなんですか。」
黒田「平均課税制度は、年ごとの収入の変動が激しい所得(変動所得)や、臨時の所得(臨時所得)がある場合に、通常の超過累進税率よりも低い税率を適用して所得税の計算ができる制度です。」
リエ「なるほど~。ポンと大きな収入があった年だけ税金が高くなってしまいますもんね。」
黒田「そうですね。そして、リエちゃんが言っていた借地権の更新料については、一定要件を満たせば臨時所得に該当し平均課税制度を適用することができるんですよ。」
リエ「そっか~、知り合いの方が言っていたのはこのことだったんですね。」
黒田「臨時所得についてはもう少し定義をお話ししますね。」
〔臨時所得〕
事業所得や不動産所得、雑所得のうち、次の所得やこれらに類する所得をいう
土地や家屋などの不動産、借地権や耕作権など不動産の上に存する権利、船舶、航空機、採石権、鉱業権、漁業権、特許権、実用新案権などを3年以上の期間他人に使用させることにより、一時に受ける権利金や頭金などで、その金額がその契約による使用料の2年分以上であるものの所得等
リエ「詳細は聞いてないですけど、知り合いの方はこの臨時所得の定義に該当する更新料を受け取るということですね。」
黒田「おそらくそうですね。」
リエ「それで、平均課税制度の計算はどのように行うんですか。」
黒田「はい。変動所得がある場合はそちらも考慮する必要がありますが、今回は臨時所得のみある前提で平均課税制度の計算方法をお伝えしますね。」
〔前提〕臨時所得の金額がその年分の総所得金額の20%以上であること
・課税総所得金額-臨時所得金額×4/5= 調整所得金額(※)
(※ 課税総所得金額が臨時所得の金額以下のときは、課税総所得金額の1/5を調整所得金額とする)
・調整所得金額×超過累進税率=税額(A)
・(A)÷調整所得金額= 平均税率
・課税総所得金額-調整所得金額= 特別所得金額
・特別所得金額×平均税率= 税額(B)
・(A)+ (B)= その年の所得税額
リエ「それぞれの計算で出した税額(A)と(B)を最後に合算するんですね。」
黒田「そうですね。不動産所得として通常の計算をする場合と、臨時所得として平均課税制度適用で計算する場合とで税額を比較してみるといいですね。」