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迷走する競馬の馬券の払戻金の所得区分 その1

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 国税庁は、現在、競馬の馬券の払戻金の所得区分(一時所得か雑所得か)に関してパブコメを実施しており、その後所得税基本通達34-1を、もう一度改正する予定とのことである。

 本稿では、これに関係する所得税法の成立ちや現行法の規定ぶりを概観した上で、筆者の所感を述べることとする。

1 制限的所得課税から包括的所得課税への転換

 昭和22年の税制改正前は、収入源の明白な所得すなわち収入源に継続性、恒常性のある所得に限って課税対象としていた。これは、課税所得としての明確性を担保するためである。その制度下では、「所得源泉を有する所得」の概念は、課税所得の範囲を仕切るものとして意義が大きかった。要するに、昭和22年の税制改正前は、臨時的・偶発的に生ずる一時の所得(譲渡所得を含む。)は、課税対象外とされていた。

 昭和22年の税制改正後は、一時の所得を含め、あらゆる所得を課税対象とすることになった。その結果、所得区分がより重要になり、課税範囲のキーワードである「所得源泉を有する所得」の概念に代わって、所得区分のキーワードである「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」の概念が大きな存在感を呈してきた。

 迷走する競馬の馬券の払戻金の所得区分 その2 は5月24日掲載予定です。

執筆者情報

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税理士 小田 満

 国税庁勤務22年の後、町田・横浜南・板橋の各税務署長を経て、平成19年税理士登録。
 主な著書は、「図表でわかる新税制による金融商品課税の要点解説」、「Q&A プロ選手・開業医・芸能人等の特殊事情に係る所得税実務」など多数。

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 国税庁は、現在、競馬の馬券の払戻金の所得区分(一時所得か雑所得か)に関してパブコメを実施しており、その後所得税基本通達34-1を、もう一度改正する予定とのことである。 本稿では、これに関係する所得税法の成立ちや現行法の規定ぶりを概観した上で、筆者の所感を述べることとする。
2018.05.15 14:04:47