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海外にある不動産を譲渡した場合の取扱い

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黒田さんとリエちゃんが決算についての打ち合わせをしています。そこに田中社長がやってきました。

田中社長「やぁ黒田さん、こんにちは。少しいいかい? 実は、海外に私名義の土地を持っていてね。近々売却をするかもしれない。仮に、売却による利益がでた場合に所得税はどうなるのか教えて欲しいんだ。」

黒田「はい。もちろんです。」

リエ「外国にあって日本にないのですから、外国の税金はかかっても所得税は関係ないですよね?」

黒田「いえ、日本の居住者※1は原則として国内で生じた所得及び国外で生じた所得のいずれについても、日本で課税されることになっています。いわゆる全世界所得課税ですね。田中社長は日本の居住者ですから、海外の不動産を売却したことによる譲渡益は、国内不動産を売却したのと同様に所得税が課されることになります。」

田中社長「海外の不動産に係る売却益についても国内において確定申告を行う必要があるということだね。しかし、どうやって外国通貨での売却を日本円に換算したらいいのだろう。」

黒田「外国通貨で行われた不動産の譲渡所得の収入金額及び不動産を取得した際の取得価額の金額は、原則として、その取引日における対顧客直物電信売相場(T.T.S)と対顧客直物電信買相場(T.T.B)の仲値(T.T.M)により換算をします。※2」

リエ「日本の所得税が課されることは分かりました。ただ、譲渡に際して、外国でも所得税に相当する税が課される場合には、外国と日本で二重に税金を取られるということでしょうか。」

黒田「いえ、そのような二重課税を調整するため一定の税額控除が設けられています。居住者が国外で生じた所得について外国の法令で所得税に相当する税を納付することとなる場合には、一定の金額を限度として、当該税額をその納付することとなる年分の所得税の額から差し引くことができます。これを“居住者に係る外国税額控除”といいます。」

田中社長「黒田さん、ありがとう。おかげで疑問が解消したよ。」

※1 居住者とは、日本国内に住所を有しているか、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する人をいいます。
※2 不動産を売却して外国通貨を直ちに本邦通貨とした場合にはT.T.Bで、本邦通貨を外国通貨として直ちに海外不動産を取得した場合にはT.T.Sで譲渡所得を計算することができます。

執筆者情報

アサヒ・ビジネスセンター

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黒田さんとリエちゃんが決算についての打ち合わせをしています。そこに田中社長がやってきました。田中社長「やぁ黒田さん、こんにちは。少しいいかい? 実は、海外に私名義の土地を持っていてね。近々売却をするかもしれない。仮に、売却による利益がでた場合に所得税はどうなるのか教えて欲しいんだ。」黒田「はい。もちろんです。」リエ「外国にあって日本にないのですから、外国の税金はかかっても所得税は関係ないですよね?」黒田「いえ、日本の居住者※1は原則として国内で生じた所得及び国外で生じた所得のいずれについても、日本で課税されることになっています。いわゆる全世界所得課税ですね。田中社長は日本の居住者ですから、海外の不動産を売却したことによる譲渡益は、国内不動産を売却したのと同様に所得税が課されることになります。」田中社長「海外の不動産に係る売却益についても国内において確定申告を行う必要があるということだね。しかし、どうやって外国通貨での売却を日本円に換算したらいいのだろう。」黒田「外国通貨で行われた不動産の譲渡所得の収入金額及び不動産を取得した際の取得価額の金額は、原則として、その取引日における対顧客直物電信売相場(T.T.S)と対顧客直物電信買相場(T.T.B)の仲値(T.T.M)により換算をします。※2」リエ「日本の所得税が課されることは分かりました。ただ、譲渡に際して、外国でも所得税に相当する税が課される場合には、外国と日本で二重に税金を取られるということでしょうか。」黒田「いえ、そのような二重課税を調整するため一定の税額控除が設けられています。居住者が国外で生じた所得について外国の法令で所得税に相当する税を納付することとなる場合には、一定の金額を限度として、当該税額をその納付することとなる年分の所得税の額から差し引くことができます。これを“居住者に係る外国税額控除”といいます。」田中社長「黒田さん、ありがとう。おかげで疑問が解消したよ。」※1 居住者とは、日本国内に住所を有しているか、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する人をいいます。※2 不動産を売却して外国通貨を直ちに本邦通貨とした場合にはT.T.Bで、本邦通貨を外国通貨として直ちに海外不動産を取得した場合にはT.T.Sで譲渡所得を計算することができます。
2018.04.03 09:25:34