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貸付不動産に対する小規模宅地等の特例適用要件の見直し

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リエ「最近、新しいマンションやアパートが増えましたよね。景気が良くなった実感があまりないのですが、相続税対策で建築されている方が増えているのでしょうか。」

黒田「そうかもしれません。わかりやすく単純計算でお話しますが、手元にある現金1000万円で不動産を購入すれば、約300万円の相続税課税対象額を減少させることができます。都市部では、土地の路線価も上昇していますし、相続税を意識される方が増加していると感じます。」

リエ「賃貸事業用の不動産なら小規模宅地等の特例が適用できますよね。宅地の評価額を50%引き下げることができるので相続税の軽減効果を期待できますね。」

黒田「はい。ですが、平成30年度の税制改正によって適用要件が変更されることになりそうです。」

リエ「どのような改正が予定されているのですか。」

黒田「おっしゃるように、被相続人等の貸付事業の用に供していた宅地等について、相続税の申告期限まで引き続き所有していた場合に200平方メートルまで土地の価格を50%軽減することができます。貸付用の不動産は、居住用不動産等に比べ購入も売却もしやすいため、一時的に現金を不動産に換えることで相続税の負担を軽減するということもできました。」

リエ「なるほど。不動産価値が大きく下落しなければ、相続税の申告期限が過ぎてから購入した貸付事業用不動産を売却することで相続税軽減分の恩恵を得るわけですね。」

黒田「平成30年度の税制改正大綱では、平成30年4月1日以後に相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について、相続開始前3年以内に貸付けを開始した不動産については、小規模宅地等の特例の対象から除外するとされています。ですが、被相続人が相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っていた場合には、相続開始前3年以内に貸付事業を行った不動産も特例の適用が可能とされています。」

リエ「事業的規模とならない貸付事業の場合に特例を適用するためには、不動産ごとに貸付期間を確認しなければいけないのですね。」

黒田「平成30年3月31日までに貸付けを開始している不動産は除くとされていますので、これから相続税対策として貸付事業の開始を検討される方にとっては、非常に気になる改正となりそうですね。」

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アサヒ・ビジネスセンター

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リエ「最近、新しいマンションやアパートが増えましたよね。景気が良くなった実感があまりないのですが、相続税対策で建築されている方が増えているのでしょうか。」黒田「そうかもしれません。わかりやすく単純計算でお話しますが、手元にある現金1000万円で不動産を購入すれば、約300万円の相続税課税対象額を減少させることができます。都市部では、土地の路線価も上昇していますし、相続税を意識される方が増加していると感じます。」リエ「賃貸事業用の不動産なら小規模宅地等の特例が適用できますよね。宅地の評価額を50%引き下げることができるので相続税の軽減効果を期待できますね。」黒田「はい。ですが、平成30年度の税制改正によって適用要件が変更されることになりそうです。」リエ「どのような改正が予定されているのですか。」黒田「おっしゃるように、被相続人等の貸付事業の用に供していた宅地等について、相続税の申告期限まで引き続き所有していた場合に200平方メートルまで土地の価格を50%軽減することができます。貸付用の不動産は、居住用不動産等に比べ購入も売却もしやすいため、一時的に現金を不動産に換えることで相続税の負担を軽減するということもできました。」リエ「なるほど。不動産価値が大きく下落しなければ、相続税の申告期限が過ぎてから購入した貸付事業用不動産を売却することで相続税軽減分の恩恵を得るわけですね。」黒田「平成30年度の税制改正大綱では、平成30年4月1日以後に相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について、相続開始前3年以内に貸付けを開始した不動産については、小規模宅地等の特例の対象から除外するとされています。ですが、被相続人が相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っていた場合には、相続開始前3年以内に貸付事業を行った不動産も特例の適用が可能とされています。」リエ「事業的規模とならない貸付事業の場合に特例を適用するためには、不動産ごとに貸付期間を確認しなければいけないのですね。」黒田「平成30年3月31日までに貸付けを開始している不動産は除くとされていますので、これから相続税対策として貸付事業の開始を検討される方にとっては、非常に気になる改正となりそうですね。」
2018.03.27 08:57:57