法人にかかる税制はここが変わる!
1 賃上げ・生産性向上のための税制
企業が自己の収益を生産性向上のための設備投資や人材投資に振り向け、持続的な賃上げが可能となる環境を作り出すことが、成長と分配の好循環を生み出すためには重要であるとの観点から、十分な賃上げや国内設備投資を行った企業について、税額控除の上乗せ措置が講じられます。一方で所得が増加しているにもかかわらず、賃上げや設備投資をほとんど行っていない大企業については、研究開発税制等の生産性の向上に関連する税額控除の適用が行われないことになります。これらは、平成30年(2018年)4月1日から3年間の時限措置です。
2 中小企業の設備投資の支援
地域の中小企業による設備投資の促進に向けた3年間の時限措置として、固定資産税の軽減措置が講じられます。
3 競争力強化のための税制措置
諸外国の大型買収案件などでは、自己株式等を対価とする事業買収の方法が一般的に用いられていますが、日本では、買収される企業の譲渡損益課税がネックとなっています。そこで、大規模かつ迅速な事業再編を強力に推し進めていく観点から、自己株式を対価とした公開買付けなど、任意の株式の交換について、交換に応じた株主に対する譲渡損益課税の繰延措置が講じられます。
また、多段階型再編等多様な手法による事業再編の円滑な実施を可能とするため、組織再編税制の適格要件が見直されます。
4 税務手続の電子化等の推進
生産性向上の推進や官民あわせたコスト削減の観点から、資本金1億円超の大企業について、法人税、消費税、地方法人税等の電子申告が義務化されます。また、これにあわせ、企業の電子申告の利便性向上に資するよう、電子申告にかかる制度及び運用が整備されます。
このコンテンツの内容は、主として平成29年12月14日付の与党の「平成30年度税制改正大綱」及び平成29年12月22日に閣議決定された「平成30年度税制改正の大綱」に基づいています。税制改正の内容は確定したものではありませんので、今後の税制改正動向に十分ご注意ください。