HOME コラム一覧 100)『財務診断』と『企業の成長力』

100)『財務診断』と『企業の成長力』

post_visual

 財務診断において、企業の成長力を見る場合、次の5つの指標に集約されることはご存知の方も多いかと思います。

 これらの指標は、単純に言えば「売上高」や「利益」が前期よりも増加したかどうか?を確認する指標となりますが、とは言えこの指標が良いからといって、必ずしも企業が成長しているとはいえません。何よりその前に「企業の成長とは何か?」についての定義が必要になります。

 とても難しいテーマになってきますが、「企業の成長」=「そこで働く人の成長」という定義には多くの方にご賛同頂けるのではないかと思います。では「人の成長」とは何か?と思考は進むのですが、あくまで財務について考える本コラムの主旨としては、掘り下げる方向がずれてしまいますので、一旦おいておくことにします。

 人が育っていないのに売上が上がる、利益が増加するのは、一時的な外的要因によるもので、これは企業の成長とはいえません。但し、人が成長し、売上や利益の増加が実現すれば、結果として先の5つの指標が良くなることもまた間違いありません。

 つまり、これらの指標は導かれた結果よりも、そうなった背景に何があるのかを確認することがより重要なのです。ということは「前期よりも売上が良くなりましたね」「利益が毎年増加していますね」という情報には何の意味も価値もないことになります。

 次回、これら5つの指標の計算方法等を一応ご紹介しますが、大切なのは「その計算によって何を確認したいのか」です。是非次回までに、「自社の成長とは何か?」について言葉で整理しておいてください。

執筆者情報

profile_photo

白川 正芳

株式会社楠本浩総合会計事務所代表取締役
一般財団法人B/S経営をすゝめる会 監事
一般財団法人M&Aで日本を再編成する会 理事
全国会計人共同体 副代表

1997年、株式会社楠本統合戦略マネージメント入社。株式会社楠本浩総合会計事務所へ転籍後、楠本税理士事務所へ7年間出向。その後、2009年35歳で代表取締役に就任。社外内部役員として多くの顧客の支持を集める。事業承継・組織再編・M&A・公益法人を活用した経営改善の支援等々、複雑な手術を手掛ける。

この記事のカテゴリ

この記事のシリーズ

経営の教科書

記事の一覧を見る

関連リンク

経営の教科書一覧(旧サイトバックナンバー一覧)

97)AI時代の財務分析指標とは?②

98)AI時代の財務分析指標とは?③

99)労働分配率と固定資産投資効率を改善する

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


コラム
/column/2018/img/thumbnail/img_18_s.jpg
 財務診断において、企業の成長力を見る場合、次の5つの指標に集約されることはご存知の方も多いかと思います。
2018.03.08 09:46:43