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年俸制を導入するための手順と留意点

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 年俸制とは、賃金の額を年単位で決める制度のことをいいます。この年俸制を導入するには、一定の制約があり、時間外労働に対する割増賃金等は、別途支払う必要があります。

1.年俸制を導入するには

 年俸制とは、賃金の額を年単位で決める制度であり、一般的には従業員本人と上司などが毎年、協議を行い、賃金を決定する制度です。
 年俸制は賃金に関する制度として労働契約の中で重要な要素になるため、会社側が一方的に制度を導入することはできず、基本的には対象従業員個々人の同意を前提として導入すべきものと考えられます。また、年俸制は賃金制度の一形態であるため通常の就業規則の変更と同様に、労働基準法に定める就業規則変更の手続きを取らなければならず、変更後の就業規則について従業員への周知が必要になります。

2.年俸制と割増賃金

 年俸制は労働時間に関係なく、従業員の成果・業績に応じて賃金額を決定しようとする制度ですが、年俸制を導入した場合であっても、実労働時間が法定労働時間を超えれば、時間外手当を支払わなければなりません。
 労働基準法では、管理監督者・機密事務取扱者については、労働時間が法定時間を超えても割増賃金が適用されません。また、裁量労働制などのみなし労働時間制の場合には、実際の労働時間に関係なく、みなし時間に応じた年俸が設定されていればよいことになるため、これらの職種には年俸制が採用されることが多くなります。なお、割増賃金の支払いを必要としない従業員であっても、健康確保を図るために労働時間の把握は行わなければなりません。
※管理監督者・機密事務取扱者であっても、深夜労働に関する規定は適用を受けるため、割増賃金の支払いは必要となります。
※みなし労働適用者であっても、深夜労働・法定休日に関する規定は適用を受けるため、割増賃金の支払いは必要となります。

執筆者情報

社会保険労務士法人A.I.Links

弁護士や司法書士、税理士等の幅広い連携と高い専門性で多くのクライアントと顧問契約を結ぶ「社会保険労務士法人」。
平成17年に設立後、近年、急増する労使トラブルからクライアント企業様を守るため、就業規則他各規程の見直し等をはじめ、種々の人事労務管理に関するコンサルティングサービスを行っている。

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2018.02.27 09:41:10