99)労働分配率と固定資産投資効率を改善する
6回にわたって『労働分配率』と『固定資産投資効率』の本質について考えてきましたので、単に指標を改善することに意味が無いことは、既に皆さんと共有できていると思います。その前提で、最後に、この2つの指標の改善策について確認します。
【労働分配率の改善について(中・長期的改善項目)】
◯社員の定着率を高めるための施策を見直す(検討する)
・真のやりがいのために自社の存在意義を全社員が語れるようになる
・社員の成長のプロセスを社員自身が見えるようにする(教育制度の充実)
◯人事制度を導入・改革する
・上司の主観による評価から脱却し、社員の成長を促す制度にする
◯目標労働分配率を全社員と共有する
・以前、何度かこのコラムで取り上げた「人件費誘導型の利益計画」を導入する。
等々
【固定資産投資効率の改善について(短期的改善項目)】
◯現固定資産を、付加価値を出しているものと、出していないものに整理し、出していない資産は売却または除却を検討する
◯付加価値に貢献している設備を、更に活用する方法がないかを検討する。その場合、現場の意見に真摯に耳を傾ける
◯新規設備投資の際は、その目的と付加価値への貢献度を数値計画で明らかにする
◯商標や特許等知的財産に関しても付加価値に貢献しているものをないかを洗い出し、必要があれば登記・登録を検討する。
等々
といった内容が主な改善項目となってまいります。前提として、付加価値の最大化という視点は必須ですが、82回、83回で詳しく取り上げましたので今回は割愛します。興味のある方は是非御覧になってみてください。
今回で『生産力の5指標』についての説明は終わります。つまるところ、企業の生産活動は『人』によって支えられています。「生産力」=「人間力」という見方をすれば、それぞれの指標の意味が深淵なものとなり、より効果的な活用に繋がると思います。是非、そのような視点で自社の生産力を確認してみてください!