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就業規則の法的効力

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就業規則は、法令や当該事業場における労働協約に反してはなりません。就業規則が法的効力を発揮するには、合理的な内容であること、従業員に周知することが必要になります。

1.法令・労働協約および労働契約との関係

 就業規則は、法令や当該事業場における労働協約に反してはなりません。
 たとえば労働基準法では、賃金は毎月1回以上支払わなければならないと定められていますが、就業規則で2か月ごとの支払いと定めることは認められません。
 一方、就業規則の基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となります。無効となった部分は、就業規則で定める基準によることになります。逆に、就業規則の基準を上回る労働条件を定めた労働契約は有効となります。

2.就業規則の法的効力には「合理性+周知」が必要

 労働条件は事業主と従業員が対等の立場において決定すべきものですが、事業主が一方的に決定する就業規則は、合理的な労働条件を定めているものである限り、その法的規範性が認められます。
 また、就業規則が法的な拘束力を発揮するには、その内容を従業員に周知させる手続きがとられていることを要します(フジ興産事件 最二小判 平15.10.10)。こちらの周知については、従業員が知ろうと思えば知り得る状況で足り、従業員が実際にその内容を知っているかどうかは問われません。すなわち、就業規則は「合理性+周知」を備えて、法的な効力を発揮し、事業主が一方的に労働条件を定める特例が認められるといえます。

3.就業規則の変更には労使の合意が必要

 就業規則の変更については労働条件の変更になるため、原則として、事業主と従業員が合意をした上で行わなければなりません。
 また、変更した場合についても、労働基準法に定められた手続きをとらなくてはなりません。具体的には、変更した就業規則について従業員等へ意見聴取を行い、その就業規則を労働基準監督署長に届け出て、周知を行う必要があります。

執筆者情報

社会保険労務士法人A.I.Links

弁護士や司法書士、税理士等の幅広い連携と高い専門性で多くのクライアントと顧問契約を結ぶ「社会保険労務士法人」。
平成17年に設立後、近年、急増する労使トラブルからクライアント企業様を守るため、就業規則他各規程の見直し等をはじめ、種々の人事労務管理に関するコンサルティングサービスを行っている。

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就業規則は、法令や当該事業場における労働協約に反してはなりません。就業規則が法的効力を発揮するには、合理的な内容であること、従業員に周知することが必要になります。
2018.02.13 09:17:19