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拡がる「シェアリングエコノミー」

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リエ「黒田さん、『シェアリングエコノミー』って言葉ご存知ですか?」

黒田「ええ、個人や法人が所有する不稼働資産やスキルを、それが必要な人に提供して収入を得るというもので、いわゆる『民泊』がその代表的な例ですね。最近その収入に対する課税方法が税制調査会で検討されているようですよ。」

リエ「そうなんですか、私は提供できるようなものを持っていないので縁がなそうですけど、今はインターネットの色々なサイトで、提供する側と求める側のマッチングができるみたいですね。」

黒田「そのようですね。でもリエさんの経理業務スキルだって必要とする方はいますし、私は存じませんがリエさんの趣味や特技を活かせる可能性もあると思いますよ。」

リエ「そうかなあ、でも会社員である以上副業はできないんですよね。」

黒田「確かに多くの会社は兼業や副業を禁止していますね。ただ政府が進めている『働き方改革』の一環として、兼業や副業を認めていくよう企業に働きかけていく流れになりそうですよ。」

リエ「なるほど、でもそれで稼いだお金にもきっちり課税するんですね。」

黒田「まあそれはやむを得ないでしょうね。今までも内職といわれる仕事はありましたし、個人が所有している不稼働資産やスキルを必要な人に提供して、お礼などの収入を得るという事例はありましたけど、収入金額や人数が多くなっていくと、課税側としてもそれを補足するための対策を採らざるを得なくなりますね。」

リエ「やっぱり多くなっているんですか。」

黒田「既に年間1兆円は超えているようですし、将来的には倍以上になるのではという予測もあります。特にスキルの提供を行うクラウドソーシングといわれる分野は、人材不足になりがちな中小零細企業や、業務の合理化・効率化を目的とした大企業も利用しているようですから、兼業や副業が一般会社員にも認められるようになれば、一層増加する可能性があります。」

リエ「でも会社の業務を一部でも依頼するとなると、信用面での不安がありませんか。」

黒田「仰る通りです。守秘義務や業務の品質面で、法人事業者等へ依頼する場合と比較したら、リスクが大きいというのは否定できないでしょう。とはいえ守秘義務も特に必要とせず、業務を完了させることが困難なものでなければ、派遣や非正規雇用者と比較してもより合理的かつ効率的なことは多いと思います。また一人で起業した方などは事務的な作業をやっている時間がないので、一般的には守秘義務が必要な業務でも、リスクは承知のうえでできるだけ安く処理して欲しいという需要もあるでしょうね。」

リエ「確かにそうかもしれませんね。課税側はどういった方法で補足しようとしているんですか?」

黒田「まだ検討を始めたばかりで何も決まっていないようです。ただ諸外国ではプラットフォーム事業者、いわゆるこれらの需要と供給をマッチングさせる業者に対して、法定調書の提出義務を設けるなどの対応を進めているようなので、日本も同じような対応をする可能性はありますし、場合によってはプラットフォーム事業者に源泉徴収義務を課す可能性もあります。」

リエ「はあ~、世の中は色々変わっていくんですね。」

黒田「そうですね。私達も何とかついていかないといけませんね。」

執筆者情報

アサヒ・ビジネスセンター

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リエ「黒田さん、『シェアリングエコノミー』って言葉ご存知ですか?」黒田「ええ、個人や法人が所有する不稼働資産やスキルを、それが必要な人に提供して収入を得るというもので、いわゆる『民泊』がその代表的な例ですね。最近その収入に対する課税方法が税制調査会で検討されているようですよ。」リエ「そうなんですか、私は提供できるようなものを持っていないので縁がなそうですけど、今はインターネットの色々なサイトで、提供する側と求める側のマッチングができるみたいですね。」黒田「そのようですね。でもリエさんの経理業務スキルだって必要とする方はいますし、私は存じませんがリエさんの趣味や特技を活かせる可能性もあると思いますよ。」リエ「そうかなあ、でも会社員である以上副業はできないんですよね。」黒田「確かに多くの会社は兼業や副業を禁止していますね。ただ政府が進めている『働き方改革』の一環として、兼業や副業を認めていくよう企業に働きかけていく流れになりそうですよ。」リエ「なるほど、でもそれで稼いだお金にもきっちり課税するんですね。」黒田「まあそれはやむを得ないでしょうね。今までも内職といわれる仕事はありましたし、個人が所有している不稼働資産やスキルを必要な人に提供して、お礼などの収入を得るという事例はありましたけど、収入金額や人数が多くなっていくと、課税側としてもそれを補足するための対策を採らざるを得なくなりますね。」リエ「やっぱり多くなっているんですか。」黒田「既に年間1兆円は超えているようですし、将来的には倍以上になるのではという予測もあります。特にスキルの提供を行うクラウドソーシングといわれる分野は、人材不足になりがちな中小零細企業や、業務の合理化・効率化を目的とした大企業も利用しているようですから、兼業や副業が一般会社員にも認められるようになれば、一層増加する可能性があります。」リエ「でも会社の業務を一部でも依頼するとなると、信用面での不安がありませんか。」黒田「仰る通りです。守秘義務や業務の品質面で、法人事業者等へ依頼する場合と比較したら、リスクが大きいというのは否定できないでしょう。とはいえ守秘義務も特に必要とせず、業務を完了させることが困難なものでなければ、派遣や非正規雇用者と比較してもより合理的かつ効率的なことは多いと思います。また一人で起業した方などは事務的な作業をやっている時間がないので、一般的には守秘義務が必要な業務でも、リスクは承知のうえでできるだけ安く処理して欲しいという需要もあるでしょうね。」リエ「確かにそうかもしれませんね。課税側はどういった方法で補足しようとしているんですか?」黒田「まだ検討を始めたばかりで何も決まっていないようです。ただ諸外国ではプラットフォーム事業者、いわゆるこれらの需要と供給をマッチングさせる業者に対して、法定調書の提出義務を設けるなどの対応を進めているようなので、日本も同じような対応をする可能性はありますし、場合によってはプラットフォーム事業者に源泉徴収義務を課す可能性もあります。」リエ「はあ~、世の中は色々変わっていくんですね。」黒田「そうですね。私達も何とかついていかないといけませんね。」
2018.02.13 09:26:55