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98)AI時代の財務分析指標とは?③

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 固定資産投資効率について、そもそも固定資産とは何か?固定資産の価格(評価)についてどう考えるか?ということを前々回、前回と考えてきました。今回はそれらのまとめとして、固定資産投資効率をどう活用するのか?について考えたいと思います。

 今後、これまで人間が行ってきた多くの仕事を、機械が代替する流れが加速していきます。AIの発達は機械による代替可能な仕事の幅を更に広げていきます。AIに対する意見は賛否含めて様々ありますが、減少することが確定している生産労働人口の推移から考えても、この流れを無視した企業経営はありえないと思われます。

 今後、企業は多種多様な方面で機械化、つまり設備投資を行うでしょう。その変化にあたり、視野に入れておかなければならない大切な指標は『労働分配率』と『固定資産投資効率』ではないでしょうか?それは、企業が更なる付加価値を求めて投じる『人』や『設備』への投資が、成果(付加価値)としてどれだけ跳ね返ったのかを確認するためです。

 例えば、この2つの指標には「機械化によって人を減らす=労働分配率が下がる=設備投資が増加する=固定資産投資効率は上がる」という因果関係が内在していますので、常に両方を確認しておく必要があります。

 また、人は成長し、時間の経過とともに付加価値を高めていきますが、機械等の設備は導入時点が最高のパフォーマンスを発揮するのが一般的なので、その側面から短期的戦略と中・長期的な戦略を踏まえた投資戦略を組み立てる必要があります。

 自社の提供している付加価値が何かを改めて再定義し、その為に投じている人的投資と設備投資を明らかにした上で、現状のそれぞれの投資効率を確認することが前提として重要になります。その現状を踏まえ、今後自社がどの様にAI化していくのかを明らかにするために固定資産投資効率を活用すれば、未来から現状を見た戦略立案が可能となるかもしれません。是非、取り組んでみてください!

執筆者情報

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白川 正芳

株式会社楠本浩総合会計事務所代表取締役
一般財団法人B/S経営をすゝめる会 監事
一般財団法人M&Aで日本を再編成する会 理事
全国会計人共同体 副代表

1997年、株式会社楠本統合戦略マネージメント入社。株式会社楠本浩総合会計事務所へ転籍後、楠本税理士事務所へ7年間出向。その後、2009年35歳で代表取締役に就任。社外内部役員として多くの顧客の支持を集める。事業承継・組織再編・M&A・公益法人を活用した経営改善の支援等々、複雑な手術を手掛ける。

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 固定資産投資効率について、そもそも固定資産とは何か?固定資産の価格(評価)についてどう考えるか?ということを前々回、前回と考えてきました。今回はそれらのまとめとして、固定資産投資効率をどう活用するのか?について考えたいと思います。 今後、これまで人間が行ってきた多くの仕事を、機械が代替する流れが加速していきます。AIの発達は機械による代替可能な仕事の幅を更に広げていきます。AIに対する意見は賛否含めて様々ありますが、減少することが確定している生産労働人口の推移から考えても、この流れを無視した企業経営はありえないと思われます。 今後、企業は多種多様な方面で機械化、つまり設備投資を行うでしょう。その変化にあたり、視野に入れておかなければならない大切な指標は『労働分配率』と『固定資産投資効率』ではないでしょうか?それは、企業が更なる付加価値を求めて投じる『人』や『設備』への投資が、成果(付加価値)としてどれだけ跳ね返ったのかを確認するためです。  例えば、この2つの指標には「機械化によって人を減らす=労働分配率が下がる=設備投資が増加する=固定資産投資効率は上がる」という因果関係が内在していますので、常に両方を確認しておく必要があります。 また、人は成長し、時間の経過とともに付加価値を高めていきますが、機械等の設備は導入時点が最高のパフォーマンスを発揮するのが一般的なので、その側面から短期的戦略と中・長期的な戦略を踏まえた投資戦略を組み立てる必要があります。 自社の提供している付加価値が何かを改めて再定義し、その為に投じている人的投資と設備投資を明らかにした上で、現状のそれぞれの投資効率を確認することが前提として重要になります。その現状を踏まえ、今後自社がどの様にAI化していくのかを明らかにするために固定資産投資効率を活用すれば、未来から現状を見た戦略立案が可能となるかもしれません。是非、取り組んでみてください!
2018.02.08 09:57:56