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ビットコインに関する税務上の取扱い

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リエ「黒田さん、こんにちは。最近、ビットコインなどの仮想通貨が世間を騒がせていますね。そこで、ビットコインに関する税務上の取扱いを改めてお聞きしたいのですが。」

黒田「わかりました。ビットコインをはじめとする仮想通貨について、各税法の取扱いを説明します。まず、所得税の取扱いですが、仮想通貨の売却や商品の購入、仮想通貨と仮想通貨の交換をよって利益が生じた場合、原則として、雑所得に区分されて課税されます。仮想通貨の売却は、売却時の価額が購入時の価額よりも高い場合に、その差額である売却益に対して課税されます。また、仮想通貨での商品の購入は、商品購入時の仮想通貨の価額が仮想通貨を購入した時の価額よりも高い場合に経済的利益を受けたとして、その差額に対して課税され、仮想通貨を他の仮想通貨と交換した場合も同様です。つまり、仮想通貨1単位を100円で購入し、仮想通貨の時価が上がったことによって、当該仮想通貨1単位で120円の商品や他の仮想通貨を購入した場合、その差額20円の経済的利益に対して、所得税が課税されることとなります。」

リエ「なるほど。売却して現金に換金した場合だけではなくて、商品や他の仮想通貨を購入した場合にも課税されるんですね。」

黒田「はい。また、仮想通貨の所得税の課税区分が、一定の場合を除いて雑所得に区分されたことによって、総合課税として累進課税が適用されます。したがって、多額の利益が生じた場合には、所得税の最高税率である45%によって課税されることとなります。反対に損失が生じた場合には、他の所得である事業所得や不動産所得との損益通算をすることができません。」

リエ「そうなんですか。大きな利益を得た人は、ちゃんと納税資金を確保しておかないと大変ですね。」

黒田「投資目的で行っている方は、計画的な資金計画が必要かもしれませんね。ほかにも仮想通貨の分裂やマイニング等、所得計算の方法などを国税庁が公表しておりますので、機会があるときに確認してみて下さい。」

リエ「わかりました。」

黒田「次に、消費税の取扱いですが、従前、仮想通貨は、消費税法において『モノ』として解釈されていたため、課税取引とされていました。しかし、平成28年6月に公布された『資金決済に関する法律』により、仮想通貨も貨幣や紙幣と同様に、支払手段と定められたことにより、消費税法においても、支払手段に類するものとして非課税となる有価証券等の範囲に含められることとなり、非課税取引とされました。」

リエ「そうだったんですか。たしかに仮想通貨は課税取引となるのは不思議な感じがしますね。」

黒田「ご注意点としては、仮想通貨の譲渡は非課税売上となりますが、仮想通貨は紙幣等と同様に支払手段とされましたので、課税売上割合の計算上、非課税売上高に含めません。」

リエ「なるほど。うっかり課税売上割合の計算に含めないように注意しないといけなですね。」

黒田「はい。最後に法人税の取扱いですが、こちらまだ取扱いが公表されておりません。企業会計上では、まだ草案の段階ですが、仮想通貨は原則として時価評価となりそうです。この場合、取得価額は購入時の支払対価と付随費用の合計額、期末時点は時価である市場価格に基づいて評価し、取得価額と市場価額との差額は当期の損益として処理することとなります。これを受けて、法人税ではどのように取り扱われるかですが、資産の評価損益は、原則として益金又は損金に算入されませんので、同様の取扱いになるのではないかとみられています。」

リエ「そうなんですね。法人で所有する場合は、まだまだ不透明な部分がありそうですね。今後何か情報が出ましたら教えてください。ありがとうございました。」

執筆者情報

アサヒ・ビジネスセンター

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リエ「黒田さん、こんにちは。最近、ビットコインなどの仮想通貨が世間を騒がせていますね。そこで、ビットコインに関する税務上の取扱いを改めてお聞きしたいのですが。」黒田「わかりました。ビットコインをはじめとする仮想通貨について、各税法の取扱いを説明します。まず、所得税の取扱いですが、仮想通貨の売却や商品の購入、仮想通貨と仮想通貨の交換をよって利益が生じた場合、原則として、雑所得に区分されて課税されます。仮想通貨の売却は、売却時の価額が購入時の価額よりも高い場合に、その差額である売却益に対して課税されます。また、仮想通貨での商品の購入は、商品購入時の仮想通貨の価額が仮想通貨を購入した時の価額よりも高い場合に経済的利益を受けたとして、その差額に対して課税され、仮想通貨を他の仮想通貨と交換した場合も同様です。つまり、仮想通貨1単位を100円で購入し、仮想通貨の時価が上がったことによって、当該仮想通貨1単位で120円の商品や他の仮想通貨を購入した場合、その差額20円の経済的利益に対して、所得税が課税されることとなります。」リエ「なるほど。売却して現金に換金した場合だけではなくて、商品や他の仮想通貨を購入した場合にも課税されるんですね。」黒田「はい。また、仮想通貨の所得税の課税区分が、一定の場合を除いて雑所得に区分されたことによって、総合課税として累進課税が適用されます。したがって、多額の利益が生じた場合には、所得税の最高税率である45%によって課税されることとなります。反対に損失が生じた場合には、他の所得である事業所得や不動産所得との損益通算をすることができません。」リエ「そうなんですか。大きな利益を得た人は、ちゃんと納税資金を確保しておかないと大変ですね。」黒田「投資目的で行っている方は、計画的な資金計画が必要かもしれませんね。ほかにも仮想通貨の分裂やマイニング等、所得計算の方法などを国税庁が公表しておりますので、機会があるときに確認してみて下さい。」リエ「わかりました。」黒田「次に、消費税の取扱いですが、従前、仮想通貨は、消費税法において『モノ』として解釈されていたため、課税取引とされていました。しかし、平成28年6月に公布された『資金決済に関する法律』により、仮想通貨も貨幣や紙幣と同様に、支払手段と定められたことにより、消費税法においても、支払手段に類するものとして非課税となる有価証券等の範囲に含められることとなり、非課税取引とされました。」リエ「そうだったんですか。たしかに仮想通貨は課税取引となるのは不思議な感じがしますね。」黒田「ご注意点としては、仮想通貨の譲渡は非課税売上となりますが、仮想通貨は紙幣等と同様に支払手段とされましたので、課税売上割合の計算上、非課税売上高に含めません。」リエ「なるほど。うっかり課税売上割合の計算に含めないように注意しないといけなですね。」黒田「はい。最後に法人税の取扱いですが、こちらまだ取扱いが公表されておりません。企業会計上では、まだ草案の段階ですが、仮想通貨は原則として時価評価となりそうです。この場合、取得価額は購入時の支払対価と付随費用の合計額、期末時点は時価である市場価格に基づいて評価し、取得価額と市場価額との差額は当期の損益として処理することとなります。これを受けて、法人税ではどのように取り扱われるかですが、資産の評価損益は、原則として益金又は損金に算入されませんので、同様の取扱いになるのではないかとみられています。」リエ「そうなんですね。法人で所有する場合は、まだまだ不透明な部分がありそうですね。今後何か情報が出ましたら教えてください。ありがとうございました。」
2018.02.06 09:11:20