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海外に転勤した人の所得税は…

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リエ「黒田さん、ちょっと質問してもいいですか?」

黒田「はい、何でしょう?」

リエ「私の友人が来月から海外の支店に転勤することになったんです。この場合、日本の所得税の計算はどうなりますか?」

黒田「ご友人の海外勤務期間は1年以上になりますか?」

リエ「たぶん2~3年は海外勤務になると言ってました。」

黒田「海外勤務者の給与に対する源泉徴収の取扱いは、『居住者』、『非居住者』で異なります。1年以上の予定で海外勤務となると、日本国内に住所を有しないものと推定され、所得税法上の『非居住者』となります。1年未満の海外勤務の場合は『居住者』となります。ご友人は2~3年海外勤務ということなので、所得税法上『非居住者』となります。『非居住者』が海外勤務で得た給与は、国外源泉所得となりますので、原則として日本の所得税は課税されません。」

リエ「なるほど、私の友人は1年以上の海外勤務になる予定なので、『非居住者』になるんですね。」

黒田「ちなみに、役員については取扱いが異なります。役員の場合、海外勤務の報酬であっても日本の法人の役員として受ける報酬は国内源泉所得とされますので、報酬から20.42%(所得税20%、復興特別所得税0.42%)の税率で源泉徴収が必要となります。ただし、その役員が使用人として海外の支店等に常時勤務する場合は源泉徴収の必要はありません。」

リエ「役員と使用人で大きく異なるのですね~。」

黒田「ちなみにリエちゃんのご友人が給与所得のほかに日本国内で発生した所得、例えば不動産所得などがある場合は国内源泉所得となりますので日本の所得税が課税されます。」

リエ「非居住者に国内源泉所得がある場合はどうやって申告するんですか?」

黒田「非居住者に代わって確定申告書を提出したり、税金の納付等を行う納税管理人を選任しなければなりません。非居住者の納税地を所轄する税務署長に『所得税の納税管理人の届出書』を提出する必要があります。この届出書を提出すると、税務署からの書類は納税管理人宛てに送付されます。ちなみに、この納税管理人は個人でも法人でもなることができます。」

リエ「納税管理人は責任重大ですね。信頼できる人にお願いしないといけないですね。」

黒田「あと、年の途中で『非居住者』となる場合は、出国するまでに日本国内で得た給与について年末調整をして所得税を精算しなければなりません。」

リエ「えっ、年の途中で年末調整をするんですか?」

黒田「はい、12月に行う年末調整と同じ方法で精算します。社会保険料や生命保険料は出国する日までに支払った金額が対象となります。配偶者控除や扶養控除は、出国時の現況により判定します。」

リエ「海外に転勤する前にやらなければいけないことが多くて大変ですね~。」



執筆者情報

アサヒ・ビジネスセンター

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リエ「黒田さん、ちょっと質問してもいいですか?」黒田「はい、何でしょう?」リエ「私の友人が来月から海外の支店に転勤することになったんです。この場合、日本の所得税の計算はどうなりますか?」黒田「ご友人の海外勤務期間は1年以上になりますか?」リエ「たぶん2~3年は海外勤務になると言ってました。」黒田「海外勤務者の給与に対する源泉徴収の取扱いは、『居住者』、『非居住者』で異なります。1年以上の予定で海外勤務となると、日本国内に住所を有しないものと推定され、所得税法上の『非居住者』となります。1年未満の海外勤務の場合は『居住者』となります。ご友人は2~3年海外勤務ということなので、所得税法上『非居住者』となります。『非居住者』が海外勤務で得た給与は、国外源泉所得となりますので、原則として日本の所得税は課税されません。」リエ「なるほど、私の友人は1年以上の海外勤務になる予定なので、『非居住者』になるんですね。」黒田「ちなみに、役員については取扱いが異なります。役員の場合、海外勤務の報酬であっても日本の法人の役員として受ける報酬は国内源泉所得とされますので、報酬から20.42%(所得税20%、復興特別所得税0.42%)の税率で源泉徴収が必要となります。ただし、その役員が使用人として海外の支店等に常時勤務する場合は源泉徴収の必要はありません。」リエ「役員と使用人で大きく異なるのですね~。」黒田「ちなみにリエちゃんのご友人が給与所得のほかに日本国内で発生した所得、例えば不動産所得などがある場合は国内源泉所得となりますので日本の所得税が課税されます。」リエ「非居住者に国内源泉所得がある場合はどうやって申告するんですか?」黒田「非居住者に代わって確定申告書を提出したり、税金の納付等を行う納税管理人を選任しなければなりません。非居住者の納税地を所轄する税務署長に『所得税の納税管理人の届出書』を提出する必要があります。この届出書を提出すると、税務署からの書類は納税管理人宛てに送付されます。ちなみに、この納税管理人は個人でも法人でもなることができます。」リエ「納税管理人は責任重大ですね。信頼できる人にお願いしないといけないですね。」黒田「あと、年の途中で『非居住者』となる場合は、出国するまでに日本国内で得た給与について年末調整をして所得税を精算しなければなりません。」リエ「えっ、年の途中で年末調整をするんですか?」黒田「はい、12月に行う年末調整と同じ方法で精算します。社会保険料や生命保険料は出国する日までに支払った金額が対象となります。配偶者控除や扶養控除は、出国時の現況により判定します。」リエ「海外に転勤する前にやらなければいけないことが多くて大変ですね~。」
2018.01.30 09:24:14