人事考課の目的と種類
人事考課を行う理由は、昇給や賞与の査定を正確に行い、決定することです。考課者は、公正な評価が行われるよう努めなければなりません。
1.人事考課の法的効力
企業で行われている人事考課制度が、就業規則等によって制度化されており、労働契約の内容となっている場合、事業主は労働契約上、人事考課権をもつことになります。また、人事考課制度が明文化されていない場合であっても、実態として人事考課制度が慣習的に行われている場合は黙示の合意により、事業主は人事考課権をもつと解釈されます。
人事考課は事業主の経営的判断と密接に関係しており、事業主は広い裁量権をもつと解釈されます。しかし、国籍や社会的身分など業務とは関係のない事柄によって評価されたり、目的が不当であったり、評価が著しくバランスを欠いたりする場合は裁量権の濫用とみなされ、その人事考課は違法とされます。
2.人事考課の目的
人事考課を行う理由は、昇給や賞与の査定を正確に行い、決定することです。しかし、人事考課の目的は会社によってそれぞれ異なります。たとえば以下のように、査定を行う以外にも重要な効果を期待することができます。
・成果や期待を従業員に理解させる
・従業員のモチベーションを高める
・経営の意図を従業員に反映する
したがって、事業主にはどの目的に重点を置くか、その狙いに応じた人事考課制度の運営が求められます。
3.人事考課の種類
具体的な人事考課の手法は多様化しており、企業規模や職種によってさまざまな手法がありますが、人事考課の内容は一般的に次の項目が使用されます。