【一般】中小企業と金融機関の情報の非対称性と会計人の役割
(1). 昨年一年間を振り返ってみると、倒産した企業が虚偽の財務諸表を提出していたため、企業の顧客は勿論、融資していた金融機関も多大な損失を被った例が数多く発生した。
もともと、多くの中小企業において会計監査が義務づけられていないこと、及び、金融機関の人的な制約等により「情報の非対称性」は発生するが、このことを放置しておくことは、企業及び金融機関双方にとって企業発展の大きな足枷になってしまう。
(2). このことを解消するために、行政も「ローカルベンチマーク」を公表し、企業と金融機関の対話の深化を討っているが、必ずしも十分に浸透しているとは言えない。
(3). これらの社会的な大きな課題に対して、我々会計人の果し得る役割は大きいと言える。先ず、多くの会計人(税理士・会計士)は、顧問先企業を毎月訪問し、会計書類等をチェックし正しい月次データ作成に大きく貢献している。更に、会計人は企業のトップと毎月面談し、又、会計処理の妥当性を確認するため必要に応じて企業活動の現場に出向くことも多い。いわゆる、財務だけではなく、企業の「事業性評価」を現場目線で行い得る立場にある。
会計人がモニタリングした「財務」及び「事業性評価」の情報を、顧問先企業と金融機関の合意の下に提供することになれば、双方の「情報の非対称性」は大きく解消されることになる。このための手段としてIT活用ができれば、その効果が更に高まることは、論を俟たない。
(4). 私共CMLとしては、今年は更に会員の皆様のコンサルティング能力の向上に力を尽くしたいと祈念しています。本年もよろしくお願い致します。