約金でも消費税は課税の対象!?
リエ「黒田さん。私、最近引越しをしたんですよ。以前から住みたかった場所だったので満足です。」
黒田「それはよかったですね。」
リエ「はい。家具なども新調しようかなと思ったんですが、以前に住んでいたところがまだ契約期間の途中で解約違約金を支払ったので、しばらく我慢します。」
黒田「はっは。リエちゃんが我慢とは感心。」
リエ「ちょっと黒田さん。私も我慢くらいできます。」
黒田「ごめん、ごめん。ところでリエちゃん。その解約に伴う違約金は、消費税の課税の対象となるかわかりますか。」
リエ「解約の違約金ですか…。確か損害賠償金などは対価として支払われるものではないから、不課税取引でしたよね。この違約金も賠償金みたいなものだから消費税は課税の対象にならないと思います。」
黒田「そうですね。まず、消費税の課税の対象とは、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供を言います。建物などの賃貸借に係る契約期間の中途に解約があった場合に違約金として支払う数ヵ月分の家賃相当額は、逸失利益を補てんするために受け取るものであり、資産の貸付けの対価に該当しないため、損害賠償金として不課税取引となります。」
リエ「よかった。」
黒田「よく勉強されてますね。では、同じ違約金でも賃貸借の契約期間満了後、建物の明け渡しが遅れたことにより支払う家賃以上の違約金は消費税の課税の対象となるかわかりますか。」
リエ「これも違約金ですし、損害賠償金として不課税取引になると思うんですが…。」
黒田「実は建物の明け渡し遅延に伴い発生した違約金は、消費税の課税の対象になります。この場合の違約金は、契約期間終了後、入居者が未だその建物を使用していることにより支払う割り増し家賃と同様の性格を有していると考えられるため、資産の貸付けの対価に該当し、課税の対象となります。したがって、居住用としての賃貸であれば非課税取引、事務所用としての賃貸であれば課税取引ということになりますね。」
リエ「名称などで判断してはいけないということですね。」
黒田「そうですね。名称は違約金などと呼ばれるものでも、その実質が資産の譲渡や貸付け、役務の提供を行ったことに伴い金銭等を収受したのであれば対価性が認められ、消費税の課税の対象になり得ますから注意が必要です。他にも特許権などの無体財産権の侵害による賠償金も権利の使用料に相当する場合には対価性があるとされ、課税の対象とされます。」
リエ「なるほど~。今回もいい勉強になりました。ありがとうございました。」
この記事は2014年7月1日に掲載したものです。