非常用食料品などの税務上の取扱い
黒田「机の脇にヘルメットが備え付けられていますね。災害用のヘルメットですか。」
リエ「はい、そうです。
最近、地震や異常気象による大型台風、集中豪雨、洪水などが頻繁発生していることから、当社も緊急時や帰宅困難時に備えて、非常用食料品や防災用品を備蓄することになりました。」
黒田「それはいいことですね。ところで全従業員分を備えるとなるとそれなりの金額となりますよね。」
リエ「そうです。総額約250万円になる予定です。今期も業績が伸びているので、購入資金については心配しなくても大丈夫と旭課長が言っていましたが、黒田さんそうなのですか。」
黒田「このところ業績も順調に伸びているのは確かです。
何年か前に非常時対策計画案については、社長から聞かされていましたが実行開始ですか。」
リエ「はい、スタートさせました。
ところで、非常用食料品の購入金額は130万円で、この食料品は、真空保存処理されており約20年は保存できるとされています。この場合、購入費用は、税務上どのような扱いになるのですか。」
黒田「国税庁が公表している『非常用食品の取扱い』によりますと、食料品は繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性を持つこと、食料品は法人税法施行令で定める減価償却資産や繰延資産に含まれないこと、災害時用の非常食は備蓄することおもって事業の用に供したと認められています。また、類似物品として、消化器の中身も取替え時の損金として取り扱っていることから、非常用食料品の購入費用は備蓄時に全額損金算入することができるとされています。」
リエ「分かりました。非常用食料品の購入費用は、消耗品費として全額経費に計上しますが、ヘルメットや毛布などの防災用備品も同様に損金として算入できますか。」
黒田「はい、全額損金できるものと考えて問題ありません。
ただ食料品と異なり、ヘルメットや毛布などは性質として器具又は備品に該当するものですから、1個の単価が10万円以上であれば減価償却資産として資産計上しなければなりません。」
リエ「防災用のヘルメットや毛布はそんな高いものはありません。」
黒田「そうでしょうね。では、単価の問題がなければ、ヘルメットや毛布なども備蓄時に事業共用があったものとして、全額その時の損金に算入して構いません。」
リエ「はい、そういうことでしたら今回の購入費用は全て消耗品費として費用計上します。」
黒田「ところで、防災マニュアルの作成や定期的管理方法などは準備できているのですか。」
リエ「これから各事業部を交えて話し合いを進めるところです。」
黒田「いざ災害が起きたときに、しっかりと使える管理体制を整えてください。」