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マーケティング戦略策定と実践の第一ボタン

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コンサルティング現場で事業戦略、マーケティングを再構築する企業が増えている。

 例えば、縮小するマーケットでピーク時から2/3程度の売上となった食品業A社は、顧客の再設定により新たな価値提供を創出する事業モデル革新戦略で成長戦略を描いている。そして、成長するマーケットを発見できた医療・介護業B社は、その分野でニッチトップブランド(ファーストコールカンパニー)となるべく、収益性を高めた成長路線を描いている。

 両社に共通することは、「勝てる場の発見と条件づくり」の事業戦略の原理原則を追求しており、その核となるのが、マーケティング戦略策定と実践である。
  
 マーケティング戦略策定プロセスは、市場分析→セグメンテーション→ターゲティング→ポジションニング→4P・4C策定→実施→管理となる。

 マーケティング機能を人体で例えるなら、顔の機能に近いと筆者は考えている。鼻でニーズを嗅ぎ取り市場を設定し、耳で消費者の声(ウォンツ)を聞き細分化し、目でターゲット消費者を見極め、口で差別化のポジショニングを作る。その後、顔全体をつくりあげ、ブランディングするマーケティングミックスを実行し、管理する。

 マーケティングプロセスに応じながら戦略策定に入る前の第一ボタンで最も重要なことは、商品・サービスの本質的なベネフィット、そして真の顧客は誰なのかを改めて分析・追求することである。

 例えば、ペンを購入するお客様の大半は、書くために買うのではなく記録に残すという価値を手に入れているのである。したがって記録に残すという価値提供を前提とした場合、ペンに限らずカメラでもICレコーダーでも良いのである。ターゲットを明確に描きながら、自社の存在価値・提供できる顧客価値を考えていただきたい。

 上述した食品業A社の場合は、食品を必要な時に流通チャネルを通じてお届けする在庫保有機能の価値提供から、消費者に食文化の提供を行う存在へとポジショニングを変化させ、食品の需要創造を訴求するプロモーションを行い始めた。直接消費者に接点を持つことで、卸チャネルにもリーダーシップを発揮できる存在になりつつある。

 企業経営は、「自社の“真の顧客”とは誰か?」「真の顧客へ提供している“真の価値”とは何か?」を常に問い続けなければならないのである。

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株式会社 タナベ経営

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コンサルティング現場で事業戦略、マーケティングを再構築する企業が増えている。 例えば、縮小するマーケットでピーク時から2/3程度の売上となった食品業A社は、顧客の再設定により新たな価値提供を創出する事業モデル革新戦略で成長戦略を描いている。そして、成長するマーケットを発見できた医療・介護業B社は、その分野でニッチトップブランド(ファーストコールカンパニー)となるべく、収益性を高めた成長路線を描いている。 両社に共通することは、「勝てる場の発見と条件づくり」の事業戦略の原理原則を追求しており、その核となるのが、マーケティング戦略策定と実践である。   マーケティング戦略策定プロセスは、市場分析→セグメンテーション→ターゲティング→ポジションニング→4P・4C策定→実施→管理となる。 マーケティング機能を人体で例えるなら、顔の機能に近いと筆者は考えている。鼻でニーズを嗅ぎ取り市場を設定し、耳で消費者の声(ウォンツ)を聞き細分化し、目でターゲット消費者を見極め、口で差別化のポジショニングを作る。その後、顔全体をつくりあげ、ブランディングするマーケティングミックスを実行し、管理する。 マーケティングプロセスに応じながら戦略策定に入る前の第一ボタンで最も重要なことは、商品・サービスの本質的なベネフィット、そして真の顧客は誰なのかを改めて分析・追求することである。 例えば、ペンを購入するお客様の大半は、書くために買うのではなく記録に残すという価値を手に入れているのである。したがって記録に残すという価値提供を前提とした場合、ペンに限らずカメラでもICレコーダーでも良いのである。ターゲットを明確に描きながら、自社の存在価値・提供できる顧客価値を考えていただきたい。 上述した食品業A社の場合は、食品を必要な時に流通チャネルを通じてお届けする在庫保有機能の価値提供から、消費者に食文化の提供を行う存在へとポジショニングを変化させ、食品の需要創造を訴求するプロモーションを行い始めた。直接消費者に接点を持つことで、卸チャネルにもリーダーシップを発揮できる存在になりつつある。 企業経営は、「自社の“真の顧客”とは誰か?」「真の顧客へ提供している“真の価値”とは何か?」を常に問い続けなければならないのである。
2017.09.07 08:58:39