早期経営改善計画策定による補助金制度(その2)
リエ「前回は、支援の対象企業とスキームを平成25年に実施された“経営改善計画策定支援”と比較しながらご説明いただきました。今回はその続きで、策定する計画内容と計画策定後のモニタリングの内容について、ご説明をお願いします。」
進藤「策定する計画内容ですが、これも従前の経営改善計画と比較しながら説明します。従前の経営改善計画おいては、以下の内容が原則として必要になります。
a.ビジネスモデル俯瞰図
b.グループ相関図
c.資金繰実績表
d.経営改善計画に関する具体的施策及び実施時期
e.アクションプラン及び3年間のモニタリング計画
f.資産保全表
g.貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書等の計数計画(金融支援を含む)
h.その他必要とする書類
一方、早期経営改善計画においては、以下の記載が求められています。
a.ビジネスモデル俯瞰図
b.資金実績・計画表
c.損益計画
d.アクションプラン
早期経営改善計画は直接的な金融支援を目的としていません。対象とする企業は、資金繰り管理や採算管理などの基本的な内容の経営改善の取組みを必要とする中小企業・小規模事業者であり、その対象企業が経営改善への意識を高め、早期からの対応を促すことが目的なので、要求される内容も簡略化されています。」
リエ「通常の経営計画という内容ですね。わかりました。それから、モニタリングはどのように行いますか。」
進藤「申請した事業者と認定支援機関は、早期経営改善計画の記載に基づいて、モニタリングに取り組み、計画策定後1年を経過した最初の決算時に、その実施状況について金融機関と共有し、支援センターに報告することになっています。そこで、モニタリングにおいて、早期経営改善計画と実績の乖離が生じている場合は、認定支援機関は申請者に適切なアドバイスを行います。さらに乖離が大きく、経営改善や抜本的に事業再生を行う必要がある場合には、支援センター及び中小企業再生支援協議会に相談することができることになっています。」
リエ「最後に、早期経営改善計画のパンフレットの中で、“ローカルベンチマーク”の活用を推奨していますが、どのようなものですか。」
進藤「ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる“健康診断”を行うツールであり、企業経営者や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みです。具体的には、経済産業省から提供されているツールを活用して、「財務情報」(売上高増加率など6つの指標)と「非財務情報」(経営者への着目など4つの視点)に関する各データを入力することによって、企業の経営状態を把握し、早期の対話や支援につなげていくものです。」
リエ「分かりました。会計事務所の先生と検討してみます。ありがとうございます。」