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【建設】キャリアアップシステムの構築始まる

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【建設】キャリアアップシステムの構築始まる

1.労働人口が減少する中で、建設業が他産業と競いながら若手人材を確保し続けるためには、(1).現場作業を担う技能者が身につけた技能や経験がしっかりと評価されて処遇に反映されること、及び、(2).積極的に技能者の育成に努め、優れた技能者を多く抱える企業が受注にあたって正当に評価されることの2点が必要である。
これらの要請に応えるため、国土交通省が主導し、建設業振興基金が運営主体となって「キャリアアップシステム」構築への取り組みがスタートした。

2.キャリアアップシステムの内容
(1).各技能者は登録の申請をすることによってID番号とカードが与えられる。カードには、通常のカード(白色)とゴールドカード(登録基幹技能者の資格を有する者)の2種類がある。
(2).建設業の許可の有無にかかわらず建設工事の請負契約を結ぶ全ての事業者(一人親方を含む)が事業者登録の対象となる。事業者はカードリーダーを設置すると共に、現場開設時に現場情報を登録する。
(3).各技能者が建設現場に入退場するときにカードリーダーに読み取らせることによって、就業履歴が自動的に蓄積されることになる。

3.キャリアアップシステムのメリット
(1).技能者にとってのメリット
自分の資格や就業履歴を証明できるため、就業する企業が変わっても、適正な評価や処遇を受ける可能性が高まる。又、自身の進歩の道筋が分かるので、インセンティブが高まる。
(2).事業者にとってのメリット
現場の入退場の管理を正確に行うことができると共に、優れた技能者を多く抱えていることが客観的に分かることにより、発注者の信頼が高まる。

3.キャリアアップシステムの工程計画
2018年9月迄にシステムの開発を終え、10月から先行運用、2019年4月から本運用の予定である。登録者数の目標は、運用開始後1年で約100万人、開始5年後には全ての技能者の登録を達成することとされている。

執筆者情報

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吉永 茂

一般社団法人コンサル技連

【コラム紹介文】
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)/代表理事 吉永茂が、全国の士業事務所の皆様に、中小企業に対する“経営助言業務”の強化を図るための様々な視点を提示します。
 得意とする建設業種特化のみならず、幅広い業種に適用できるテーマを取り上げます。
【経歴】
1942年生まれ
中央大学卒
公認会計士・税理士
建設会社勤務中、公認会計士試験に合格。監査法人勤務を経て、35歳で独立、現在に至る。
熊本学園大学会計職専門大学院 専任教授(前職)
一般社団法人コンサル技連 代表理事
税理士法人ユース会計社 会長
京都大学経営管理大学院 特命教授

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1.労働人口が減少する中で、建設業が他産業と競いながら若手人材を確保し続けるためには、(1).現場作業を担う技能者が身につけた技能や経験がしっかりと評価されて処遇に反映されること、及び、(2).積極的に技能者の育成に努め、優れた技能者を多く抱える企業が受注にあたって正当に評価されることの2点が必要である。これらの要請に応えるため、国土交通省が主導し、建設業振興基金が運営主体となって「キャリアアップシステム」構築への取り組みがスタートした。2.キャリアアップシステムの内容(1).各技能者は登録の申請をすることによってID番号とカードが与えられる。カードには、通常のカード(白色)とゴールドカード(登録基幹技能者の資格を有する者)の2種類がある。(2).建設業の許可の有無にかかわらず建設工事の請負契約を結ぶ全ての事業者(一人親方を含む)が事業者登録の対象となる。事業者はカードリーダーを設置すると共に、現場開設時に現場情報を登録する。(3).各技能者が建設現場に入退場するときにカードリーダーに読み取らせることによって、就業履歴が自動的に蓄積されることになる。3.キャリアアップシステムのメリット(1).技能者にとってのメリット自分の資格や就業履歴を証明できるため、就業する企業が変わっても、適正な評価や処遇を受ける可能性が高まる。又、自身の進歩の道筋が分かるので、インセンティブが高まる。(2).事業者にとってのメリット現場の入退場の管理を正確に行うことができると共に、優れた技能者を多く抱えていることが客観的に分かることにより、発注者の信頼が高まる。3.キャリアアップシステムの工程計画2018年9月迄にシステムの開発を終え、10月から先行運用、2019年4月から本運用の予定である。登録者数の目標は、運用開始後1年で約100万人、開始5年後には全ての技能者の登録を達成することとされている。
2017.08.03 08:59:42