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株式報酬に対応、改正内閣府令が公布

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 金融庁は2017年7月14日、「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」及び「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正を公表した。

 今回の改正は(1)特定譲渡制限付株式、(2)パフォーマンスシェア、(3)株式報酬(所定の時期に確定した数の株式を報酬として付与するもの)等による株式の割り当てを行う場合に、「売買報告書の提出制度及び短期売買利益の返還請求制度の適用除外とする改正」「有価証券届出書における「第三者割当の場合の特記事項」の記載を不要とする改正」を行うもの。改正により、これらの報酬はストックオプションの付与と同様に取り扱われることになる。改正後の内閣府令は7月14日付で公布・施行される。

 これらの報酬は、経営陣に中長期の企業価値創造を引き出すためのインセンティブを付与することができる仕組みであり、開示にあたりストックオプションの付与と同様の取り扱いをすることで政府は普及に弾みをつけたい考えだ。

 なお、上記の3つの報酬には役員を受益者とする自社株式交付スキーム(株式給付信託)は明記されていない。パブリックコメントでは「役員等を受益者とする自社株式交付スキーム(株式給付信託)についても対象としていただきたい」といったコメントが寄せられていたが、これに対して金融庁は「ご指摘の自社株式交付スキームを含め、役員等に提出会社の株式等を給付する方法には様々なものがありうると考えられ、これらに係る個別の割当先等の開示の要否については、第三者割当について特記事項の記載が要求されている趣旨等に照らして個々に判断が行われるべきものと考えます」と回答している(「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」の1)。役員を受益者とする自社株式交付スキーム(株式給付信託)を検討する場合には、注意したいところだ。

執筆者情報

日本IPO実務検定協会
財務報告実務検定事務局

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 金融庁は2017年7月14日、「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」及び「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正を公表した。  今回の改正は(1)特定譲渡制限付株式、(2)パフォーマンスシェア、(3)株式報酬(所定の時期に確定した数の株式を報酬として付与するもの)等による株式の割り当てを行う場合に、「売買報告書の提出制度及び短期売買利益の返還請求制度の適用除外とする改正」「有価証券届出書における「第三者割当の場合の特記事項」の記載を不要とする改正」を行うもの。改正により、これらの報酬はストックオプションの付与と同様に取り扱われることになる。改正後の内閣府令は7月14日付で公布・施行される。  これらの報酬は、経営陣に中長期の企業価値創造を引き出すためのインセンティブを付与することができる仕組みであり、開示にあたりストックオプションの付与と同様の取り扱いをすることで政府は普及に弾みをつけたい考えだ。  なお、上記の3つの報酬には役員を受益者とする自社株式交付スキーム(株式給付信託)は明記されていない。パブリックコメントでは「役員等を受益者とする自社株式交付スキーム(株式給付信託)についても対象としていただきたい」といったコメントが寄せられていたが、これに対して金融庁は「ご指摘の自社株式交付スキームを含め、役員等に提出会社の株式等を給付する方法には様々なものがありうると考えられ、これらに係る個別の割当先等の開示の要否については、第三者割当について特記事項の記載が要求されている趣旨等に照らして個々に判断が行われるべきものと考えます」と回答している(「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」の1)。役員を受益者とする自社株式交付スキーム(株式給付信託)を検討する場合には、注意したいところだ。
2017.07.27 13:15:57