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親の借地土地の底地部分を子が買い取ったときの取扱い

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リエ「黒田さん今日も監査ありがとうございました。ちょっと個人的なことをお聞きしてもよろしいですか」

黒田「はい、いいですよ。どうしましたか?」

リエ「実は親戚の家の話なんですが、親が借地している土地の所有権(底地)を子供が地主さんから買い取ることになったらしいんですよ。その場合、親子なので地代などは支払わないようなのですが、税金などは大丈夫でしょうか」

黒田「そうですね、子供が底地を購入したのでしたら、所有者である子供が親に対して土地を賃貸していることになります。なので、親が引き続き子供に地代を支払う場合は贈与税の問題はありません。しかし、通常ですと親子の間で金銭の授受が行われないことが多く、その場合は使用貸借となり、親の所有していた借地権は、子供が土地を買い取ったときに借地権者である親から子供に贈与があったものとして取り扱われます。
この時の贈与税の課税価格は、地代からの計算ではなく、更地としての相続税評価額を基に計算した借地権の価格となります。その際に、地域により借地権割合が決められていますので、所轄の税務署に問い合わせるか国税庁で公開している路線価格で確認するといいでしょう。」

リエ「贈与税がかかってしまのですか?!」

黒田「原則はそうです。ただ、そういう場合、子供が土地の所有者となった後も、引き続き借地権は親が所有しているものとして、『借地権者の地位に変更がない旨の申出書』を子供の住所地の所轄税務署長にすみやかに提出したときは、贈与として取り扱わないことになっています。この申出書は、借地権者の親と土地の所有者である子供の連署により提出することになっています。」

リエ「贈与税はかからないんですね。よかったです。」

黒田「ですが、いいことばかりではありません。今回のように子供が底地を購入した時に、『借地権者の地位に変更がない旨の申出書』を提出すれば、贈与税が課税されることはありませんが、将来親が死亡した際には、その借地権は親の相続財産となり相続税の課税対象となります。」

リエ「なんだ~。贈与税か相続税どちらかは課税されるということなんですね」

黒田「そうですね、この申し出書は、課税の免除というよりも課税時期の繰延べといったところでしょうか」

リエ「納税は私たちの義務ですが、やはりあまり払いたくないですね………。」

黒田「確かにそうですね。知らないで損をすることのないように、まずは私どもに相談してくださいね。」

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アサヒ・ビジネスセンター

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リエ「黒田さん今日も監査ありがとうございました。ちょっと個人的なことをお聞きしてもよろしいですか」黒田「はい、いいですよ。どうしましたか?」リエ「実は親戚の家の話なんですが、親が借地している土地の所有権(底地)を子供が地主さんから買い取ることになったらしいんですよ。その場合、親子なので地代などは支払わないようなのですが、税金などは大丈夫でしょうか」黒田「そうですね、子供が底地を購入したのでしたら、所有者である子供が親に対して土地を賃貸していることになります。なので、親が引き続き子供に地代を支払う場合は贈与税の問題はありません。しかし、通常ですと親子の間で金銭の授受が行われないことが多く、その場合は使用貸借となり、親の所有していた借地権は、子供が土地を買い取ったときに借地権者である親から子供に贈与があったものとして取り扱われます。この時の贈与税の課税価格は、地代からの計算ではなく、更地としての相続税評価額を基に計算した借地権の価格となります。その際に、地域により借地権割合が決められていますので、所轄の税務署に問い合わせるか国税庁で公開している路線価格で確認するといいでしょう。」リエ「贈与税がかかってしまのですか?!」黒田「原則はそうです。ただ、そういう場合、子供が土地の所有者となった後も、引き続き借地権は親が所有しているものとして、『借地権者の地位に変更がない旨の申出書』を子供の住所地の所轄税務署長にすみやかに提出したときは、贈与として取り扱わないことになっています。この申出書は、借地権者の親と土地の所有者である子供の連署により提出することになっています。」リエ「贈与税はかからないんですね。よかったです。」黒田「ですが、いいことばかりではありません。今回のように子供が底地を購入した時に、『借地権者の地位に変更がない旨の申出書』を提出すれば、贈与税が課税されることはありませんが、将来親が死亡した際には、その借地権は親の相続財産となり相続税の課税対象となります。」リエ「なんだ~。贈与税か相続税どちらかは課税されるということなんですね」黒田「そうですね、この申し出書は、課税の免除というよりも課税時期の繰延べといったところでしょうか」リエ「納税は私たちの義務ですが、やはりあまり払いたくないですね………。」黒田「確かにそうですね。知らないで損をすることのないように、まずは私どもに相談してくださいね。」
2017.07.25 09:23:24