HOME コラム一覧 84)自社のビジネスモデルが社会に貢献しているか?を確認する指標①

84)自社のビジネスモデルが社会に貢献しているか?を確認する指標①

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 自社のブランド力を表す指標として「付加価値率」があることをご紹介しましたが、今回は自社のビジネスモデルが社会に通用しているのか?を確認するための指標である「営業利益率」をご紹介します。

 82回目のコラムで経費を「個変分解」し、その変動費を売上高から差し引くと自社のブランド力が浮き彫りになることをご紹介しました。今回は、そのブランド力から更に固定費を差し引くと、自社のビジネスモデルの社会貢献度が見えてくるというお話です。簡単に言うと、本業で利益を出すことが出来ているか?と言う意味になりますが、ここでは少し切り口を変えます。

 例えば、営業利益が“0”だとします。この会社は社会に貢献出来ていないのでしょうか?そうとはいえませんよね。社員に給与を支給し、水道光熱費、他の企業が生産した商品や製品を費消し、税金を支払っているわけですから。ですから、極論すれば、営業利益は1円でもプラスならばそれで良いことになります。

 但し、営業利益が“0”であれば、会社にはいつまでたっても蓄えが増えず安定しません。ほんの少し売上が下がっただけで「営業利益がマイナス」=「社会に全く貢献していない企業」となります。そうなると、適正な営業利益率はどの程度なのか?という疑問が湧いてきますが、実はこれは「自社で決めるしかない」というのが正解になります。

 では「適正な営業利益率」はどうやって決めればいいのでしょうか?この話を進めていく為には、決算書の中に出てくる「架空の経費」について理解と認識を深めておく必要があります。皆さんピンときましたか?そうです…。ここで言う「架空の経費」とは「減価償却費」です。

 減価償却費は他の経費と大きく異なるのが、キャッシュアウトのタイミングと、経費計上のタイミングが異なるという点で、更にそこに税法が絡んでくる為になおさらややこしくなってしまいます。次回はこの減価償却費を整理して、自社の適正な営業利益は幾らなのかを考えてみたいと思います。

執筆者情報

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白川 正芳

株式会社楠本浩総合会計事務所 代表取締役
一般財団法人B/S経営をすゝめる会 監事
一般財団法人M&Aで日本を再編成する会 理事
全国会計人共同体 副代表

1997年、株式会社楠本統合戦略マネージメント入社。株式会社楠本浩総合会計事務所へ転籍後、楠本税理士事務所へ7年間出向。その後、2009年35歳で代表取締役に就任。社外内部役員として多くの顧客の支持を集める。事業承継・組織再編・M&A・公益法人を活用した経営改善の支援等々、複雑な手術を手掛ける。

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2017.07.25 10:36:37