派遣社員の無期転換NO.2 ~無期労働契約転換後の労働条件~
無期労働契約転換後の労働条件は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同様の内容となります(正社員と同様の条件になるわけではありません)。今回は、無期転換後の労働条件について解説します。
1.転換後は原則、直前の労働条件と同様となる
無期労働契約転換後の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同様の内容となります。要するに、契約期間が「有期」から「無期」に変わるだけで、他の条件は今までと変わらないということです。ただし、行っている業務の責任や内容、労働条件に応じて、転換後の役割や位置付けを検討し、無期転換制度を有効に活用することが望まれます。
転換にあたり、労働条件を変更する場合は別段の定めをする必要があります。「別段の定め」とは、労働協約、就業規則、個々の労働契約(無期転換にあたり労働条件を変更することについての従業員と事業主との個別の合意)が該当します。
なお、無期転換にあたり、職務の内容などが変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましいものではありません。
2.無期転換後の労働条件のポイント
無期転換後の労働条件について、契約期間のみを無期とし、その他の労働条件は直前の有効期間と同一とする場合であっても、無期労働契約に転換した以上、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」は無効となります。したがって、定年の取扱いや、必要がある場合は勤務地等の取扱いを明確にすることが重要となります。