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Q&A消費税の税務処理

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Q&A 国外への商品移送の際の消費税の取扱い

Q: 当社では、国内販売を中心にして事業を行ってきましたが、この度、国外で販売することにしました。日本から国外の営業倉庫に商品を送り出し、顧客からの注文に応じて顧客に出荷して代金はクレジットカードで回収します。この場合の消費税の取扱いはどうなりますか。

A: 国外の営業倉庫から国外の消費者に商品を販売する取引は国内における取引に該当しませんので消費税はかかりません。消費税の課税対象外で不課税取引となります。また、国外で販売するため、国内から国外の営業倉庫に輸出する行為は、資産の譲渡等には該当しませんが、輸出免税取引とみなして仕入税額の計算を行うこととされています。

概要

 国外の営業倉庫に商品を保管し、インターネットを通じて商品を販売し、クレジットカードで代金を回収する取引は、国内での資産の譲渡に該当しませんので、不課税取引となります。国内から国外の営業倉庫への商品の移送は、資産の譲渡には該当しませんが、輸出免税取引として課税売上割合の計算では課税取引として取り扱われます。
 輸出免税取引とされる資産の譲渡等とは次の要件を満たすものをいいます
(法7、基通7-1-1)。
 ①課税事業者によって
 ②国内において行われる
 ③課税資産の譲渡等に該当するもの
 ④次の取引に該当するもの
  イ)本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
  ロ)外国貨物の譲渡又は貸付け
  ハ)国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客、貨物の輸送又は通信、並びにこの輸
    送の用に供される船舶又は航空機の譲渡、貸付け又は修理
  ニ)イ)からロ)の資産の譲渡等に類する取引で所定のもの
 ⑤必要な証明のなされたもの

適切な取扱い

 自己が国外において販売するために課税資産を輸出する行為は資産の譲渡等にはなりません。しかし、国外の子会社で販売するために輸出したものは、国内で課税資産を譲渡する取引になりますので、輸出免税取引になります(法7)。
 なお、国外で自己が使用するためや、国外で自己が販売するために課税資産を国外に輸出したものは、輸出免税取引とみなして課税売上割合の計算において、資産の譲渡等の金額と課税資産の譲渡等の金額のいずれにも含めて計算を行います(法31②)。

誤った取扱い

 国外で販売するために国外の営業倉庫へ国内から商品を輸出する取引は輸出免税取引になりませんが、国外において当該国の消費税や付加価値税、GST(Goods and Services Tax)が課税されることになりますので、当該国における税について十分調査してトラブルのないようにしてください。

まとめ

 国外での商品の販売は、消費税の不課税取引となりますが、当該国の消費税等の間接税が課税される場合がありますから留意してください。
 国外で商品を販売するための日本からの輸出は、輸出免税取引として、課税売上割合の計算に反映され、仕入税額控除を適切に行うことにより、消費税の国境間調整が行われます。

 このコンテンツの内容は、平成28年11月1日現在の法令通達によっています。

資料提供(出典)

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うっかりミスにご注意を!Q&A消費税の税務処理

著者:公認会計士・税理士 追手門学院大学客員教授 田淵正信 編著

発行日:2016年12月19日
発行元:株式会社 清文社
規格:A5判336頁

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2017.06.28 11:26:49