79)決算書が写す真実を経営に活かす!
これまで、強い会社の財務状態とはどのような状態なのか?どうすればより強い財務状態に近づくのか?強くなるとどのような良いことがあるのか?ということについて、会社を船に例え、決算書をベースに「定量的」切り口や、「機能的」切り口、「経営者個人と法人の関係」「出口戦略」といった様々な切り口から考えて参りました。
中には決算書と直接関係ない話題もありましたが、今回からはもう一度決算書に視点を戻し、改めて「経営の鏡」である決算書から見えてくる、自社の実態と、「超」具体的な改善策について皆さんと考えていきたいと思います。
主な柱として財務分析において最もポピュラーな「6要素」を使います。皆さんも銀行やコンサルタントを通じて、一度は「6要素診断」を受けたことがあるかもしれませんが、「受けたことがあるよ!」という方に伺います。その診断は役に立ちましたか?…
おそらくほとんどの方が「全く役に立っていない」とお答えになるのではないでしょうか?そうです。6要素診断は役に立ちません。何故でしょうか?それは健康診断をしても健康にならないのと同じです。健康診断を毎年しても、健康でない部分があるという事実が突きつけられるだけで、一向に健康にはならないのです。
もう少しそのカラクリを考えます。改善するには改善のための行動が必要ですが、行動するためには、現状の課題を知る必要があります。課題を知るには問題を知る必要があります。だから診断をするという理屈ですが、この思考展開は現実的ではありません。
現実には、先ず問題があり、問題を思考によって課題化し、その課題を解決する為に行動に出ます。そうであるにも関わらず、先ず6要素診断を行って細かな課題を明らかにしても、問題と直結しなければ、行動に出る気持にはならないのです。「おれは健康だ」と思っている人に、いくら健康診断の結果を突きつけても、余程の結果でない限り行動には移りません。
つまり、問題意識のない財務分析には意味も価値もありません。皆さんと「6要素」について考えていきますが、是非、これまでの話題を参考にして、次回までに自社の財務上の問題を明らかにすることに取り組んでおいて下さい。