ノーベル賞の賞金の取扱い
リエ「最近は日本人のノーベル賞受賞者が多いですね。」
旭課長「そうですね、各分野の専門家の方たちの活躍が目覚ましいです。」
リエ「ところで、ノーベル賞を受賞すると賞金がもらえるんですよね。」
旭課長「ええ、その通りです。日本円にしておよそ1億2000万円ほどの賞金がもらえるみたいですよ。」
リエ「それだけすごいことってことですね。日本では個人が賞金を得るとき一時所得として課税されますけど、まさかノーベル賞を受賞して得た賞金も課税されたり……。」
黒田「そんなことはありませんよ。所得税法にノーベル基金からノーベル賞として交付される金品については非課税であると規定されています。ノーベル賞、ほかにもオリンピックのメダリストの方への金品で特定の団体から交付されるものなど非課税なんです。」
リエ「そうなんですね、なんだか一安心です。」
黒田「1949年に湯川秀樹氏という方が日本人で初めてノーベル賞を受賞しましたが、その際にノーベル賞に課税をするのかと話題になり法律の改正が行われたようです。」
リエ「そういう経緯があったんですね。」
黒田「さらに踏み込んだことを言うと、ノーベル賞には物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞、経済学賞と6つの賞ありますが、経済学賞以外の5つの賞についてはノーベル基金から支払われるため日本では非課税です。しかし、経済学賞は違うんです。」
リエ「違うって、まさか課税されるんですか……。」
黒田「ノーベル経済学賞はもともとスウェーデンの中央銀行であるスウェーデン国立銀行の働きかけで新設されたという経緯から、その賞金はスウェーデン国立銀行から支払われます。生きる現行の所得税法では、『ノーベル基金から』ではないという理由により課税対象となってしまうんです。」
リエ「確か、日本人ではこれまでノーベル経済学賞を受賞した方はいなかったですよね。」
旭課長「そうですね。これから先、日本人初の経済学賞受賞者が誕生したら、湯川教授のときのように法律の改正が行われるかもしれませんね。」