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事業的規模に満たない不動産所得と青色申告特別控除

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リエ「黒田さん、こんには。個人的にご質問したいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」

黒田「もちろんですよ。どのようなことでしょうか?」

リエ「私の伯父の話です。伯父は、小さな雑貨屋を経営しており、青色申告特別控除の適用を受けることができる個人事業主です。一方で、投資用のワンルームマンションを4部屋所有しており賃貸収入を得ています。」

黒田「事業所得と事業的規模に満たない不動産所得があるということですね。」

リエ「はい。今年は、事業所得が▲200万円で赤字、不動産所得は100万円の黒字になるようです。このような場合に65万円の青色申告特別控除は不動産所得から控除できるのでしょうか? 事業的規模に満たない不動産所得であるため、適用できないと思うのですが。」

黒田「いえいえ。事業所得に関して、複式簿記により帳簿記帳を行うなどの青色申告特別控除の要件を満たしていれば、事業的規模に満たない不動産所得であっても65万円の青色申告特別控除を適用することができますよ。」

リエ「そうなのですか。どうしてでしょうか?」

黒田「措置法25条の2第3項は、次のような規定(※)となっています。同条同項では65万円の青色申告特別控除の要件のひとつに≪不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営むもの≫を掲げています。伯父様は不動産所得を生ずべき事業を営んではいませんが、事業所得を生ずべき事業を営んでいるため、この要件を満たしますよね。
 また、同条4項では、≪65万の青色申告特別控除は、不動産所得の金額又は事業所得の金額から順次控除する≫と規定されており、不動産所得が事業的規模であるかどうかは、問われていません。
 そのため、伯父様のケースでは、たとえ不動産所得に係る取引について簡易帳簿により記帳している場合であっても、不動産所得から65万円の青色申告特別控除を控除することができると考えることができるのです。」

リエ「そうだったのですね。ありがとうございました。さっそく伯父に教えたいと思います。」

※ 措置法25条の2第3項の規定内容
青色申告者で不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営むものが、その事業に係る所定の帳簿書類を備え付けてこれに不動産所得の金額又は事業所得の金額に係る取引を記録している場合には、不動産所得の金額又は事業所得の金額は、不動産所得の金額又は事業所得の金額から65万円と不動産所得の金額又は事業所得の金額の合計額とのいずれか少ない金額を控除した金額とする。

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アサヒ・ビジネスセンター

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リエ「黒田さん、こんには。個人的にご質問したいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」 黒田「もちろんですよ。どのようなことでしょうか?」 リエ「私の伯父の話です。伯父は、小さな雑貨屋を経営しており、青色申告特別控除の適用を受けることができる個人事業主です。一方で、投資用のワンルームマンションを4部屋所有しており賃貸収入を得ています。」黒田「事業所得と事業的規模に満たない不動産所得があるということですね。」リエ「はい。今年は、事業所得が▲200万円で赤字、不動産所得は100万円の黒字になるようです。このような場合に65万円の青色申告特別控除は不動産所得から控除できるのでしょうか? 事業的規模に満たない不動産所得であるため、適用できないと思うのですが。」黒田「いえいえ。事業所得に関して、複式簿記により帳簿記帳を行うなどの青色申告特別控除の要件を満たしていれば、事業的規模に満たない不動産所得であっても65万円の青色申告特別控除を適用することができますよ。」リエ「そうなのですか。どうしてでしょうか?」黒田「措置法25条の2第3項は、次のような規定(※)となっています。同条同項では65万円の青色申告特別控除の要件のひとつに≪不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営むもの≫を掲げています。伯父様は不動産所得を生ずべき事業を営んではいませんが、事業所得を生ずべき事業を営んでいるため、この要件を満たしますよね。 また、同条4項では、≪65万の青色申告特別控除は、不動産所得の金額又は事業所得の金額から順次控除する≫と規定されており、不動産所得が事業的規模であるかどうかは、問われていません。 そのため、伯父様のケースでは、たとえ不動産所得に係る取引について簡易帳簿により記帳している場合であっても、不動産所得から65万円の青色申告特別控除を控除することができると考えることができるのです。」リエ「そうだったのですね。ありがとうございました。さっそく伯父に教えたいと思います。」※ 措置法25条の2第3項の規定内容青色申告者で不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営むものが、その事業に係る所定の帳簿書類を備え付けてこれに不動産所得の金額又は事業所得の金額に係る取引を記録している場合には、不動産所得の金額又は事業所得の金額は、不動産所得の金額又は事業所得の金額から65万円と不動産所得の金額又は事業所得の金額の合計額とのいずれか少ない金額を控除した金額とする。
2017.04.16 17:31:06