役員へのボーナスを出すことに問題はないの?
問題はないが、一定の条件以外は経費とならない
【ポイント】
会社の役員は株主に委嘱されて、定められた役員報酬で会社の経営を執行し、決算で予想以上の業績が上がったら、ご褒美としてボーナスがもらえる仕組みになっています。決算から3ヶ月以内の株主総会の利益処分で役員の賞与が支給されます。株主への配当と同じく、利益の分配ですから、会社の経費とは認められません。これは上場会社であろうが中小企業でも全く同じ扱いです。ですから、仮に100万円の役員賞与を支給したとすれば、法人税と共に役員個人の所得税や住民税もかかってきます。
しかし、役員でも代表取締役や監査役以外の一般の取締役で、実際の実務に従事し、社員と同じ立場で仕事をしている方については、その使用人部分の賞与については、他の使用人と同時期かつ同条件【支給月数や計算基準】であれば、会社の損金としても良いとされています。これと同じく平成18年4月より、使用人兼務役員でない役員についても、あらかじめの定めに基づいて、確定した時期に確定した金額について支給する役員の賞与は、届出をすれば、会社の損金となるよう改正になりました。
ただ、普通は役員賞与を支給しなくて済むように、経営計画をしっかり立て、常に利益を予想し、社長の毎月の報酬を合理的に算出する必要があります。
☆怖い役員の現物給与課税
税務調査で経費性が否認された場合、役員の臨時的給与 = 役員賞与となり、会社への法人税課税と役員の所得税課税の両方課税されるケースが増加しています。例えば帳簿がずさんで、簿外売上2,000万円が税務調査で発見された場合、(借方)役員賞与2,000万円/(貸方)売上2,000万円 仮受消費税160万円となり、売上2,000万円に40%の法人税等800万円、個人所得税約40%として所得税864万円、消費税160万円の計1,824万円もの税金が課税されます。更に過少申告加算税・延滞税等もあり、ほぼ2,000万円全額税金といったケースも十分考えられます。しっかりした帳簿の作成と監査を行い、絶対に役員の現物給与課税がないようにしたいものです。