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経営コーチコラム

  コーチングは何のためにやっているのか?


日本経営コーチ協会専務理事
税理士・経営コーチ  林 充之


 皆さんこんにちは。日本経営コーチ協会専務理事の林です。

 私達は、コーチングというのを使いながら顧問先のサポートをしていっているわけですけれども、我々がやらなければいけない事を、もう一度、明らかにしていきたいと思います。

 それはどういう事かと言いますと、コーチングで何が得られるのか?コーチングで何が与えられるのか?ということをお話ししたいのですけれども、コーチングというのは、相手の頭の中にある会話を通じて、点と点になっている色んな知識を、線で結んであげて、「あ、こんなものに気づいた」という状態にしていく、というのがコーチングの一つの技法でもあります。質問を重ねていくうちに、社長さんが答えます。その質問に対する答えの中に、答えていくうちに、だんだんお客様の頭の中で色んな事がらが整理されていきます。その整理されてきたものが、やがて「あー!」という、気づきを与えるんですね。それを何と言うかというと、「アイデア」と言います。つまり、「結論は社長の頭の中にある」ということなんです。ここでホッとしてほしいのは、わざわざコンサルタントのように、何かをあげなきゃいけない、何かを伝えなきゃいけないという事では無い、という事なんです。ということは、相手の頭の中を整理する事によって、勝手に頭の中でアイデアが浮かんでいた。それが我がやるべき事の一つです。

 それからもう一つは何かというと、よく夫婦間のお話でもありますが、夫婦で話をしていると、何が起きるかというと、例えば奥さんが旦那さんに話を聞いてもらえない、なんていう話があるかと思いますが、これはどういう事かというと、その話は本当に切羽詰まった話なのか、それともどんな話なのか、って聞いてみると、大したこと無い話も結構あります。でもそれを、5分10分20分と聞いているうちに、奥さんの頭の中で何が起きるかというと、「話を聞いてくれた」「話を共有できた」っていうことの安心感が生まれるんですね。この安心感。安心できれば、行動できる。つまり、この安心感を与える事によって行動を促す事ができます。

 またコーチングのもう一つのやりかたとして、「コミットをとる」というのがあります。「今日お話しした中で、いろんなこと決めていきましたね。ではそれはいつやりますか?」ということを、質問してあげて下さい。そうすると、コミットが出ます。その、やろうとしているコミットについて、翌月またお邪魔した時に「先月コミットした事はこんな事でしたけど、できましたか?」って、聞いてあげる。

 つまり、我々はコーチングで何をやるか?社長の頭の中を整理してあげて、気づきを与え、アイデアが出るようにする。それから、お客様の話を共有する、聞いてあげるということによる、安心感を与えていく。そして、コミットをとりながら、行動を促していく、というこの3つの要素があるわけです。そして、これを通じて、皆さんがやらなきゃいけない事は、中小企業の社長が底に抱えている悩みを解決していく、ということです。解決すればどういう事が起きるかというと、中小企業の経営に関する事に社長が集中できる。集中できると業績が上がる。そしてその中小企業はどういうものかって言うと、日本は中小企業で成り立っている。日本は中小企業で成り立っているというで、中小企業が良くなるという事は、日本が良くなるという事です。つまり、我々の仕事は、このコーチングを通じて、日本を再生していくという大きな命題を持ちながら、皆さん自信を持ってやっていただきたいと思います。

 ぜひ聞いてほしいのは、我々は何のために仕事をしているのか?そして我々は何のためにこの事をやっているのか?それをじっくりと考えていただいて、これからの人生の中で、我々のやっている仕事を生涯の業務としてどうやっていくのか、それを考えていただきたい。

 そして、我々は、いつもやっていたのは「インプット」、つまり知識を吸収するという事ばかりに注力してきましたけれども、インプットされたものはアウトプット無しで成果が出るという事は無いのです。我々はアウトプットの練習をしてきたか?社長さんと会話する事を練習してきたか?それが、一番大切なキーワードです。インプットだけでなくアウトプットを通じてお客様の役に立つ、という事を考えていただいて、経営コーチとして、皆さんが活躍する事を願っています。

 改めて、コーチングは何のためにやっているのか、それから我々の仕事の使命は何なのか、そしてインプット・アウトプットにおいてアウトプットを軽視し過ぎてはいないか、という事を考えていただきたいと思います。


林 充之 (はやし みつゆき)

税理士・経営コーチ。YMGグループ代表税理士。(株)KAIZEN代表取締役。(社)日本経営コーチ協会専務理事。

横浜で約100名のスタッフを抱える大型会計事務所の代表で、各地で積極的に講演活動を行っており、解り易い語り口調で好評。主な著書として「その時会社は動いた」「経営コーチ」(万来舎・共著)「ときめき会社法」(八千代出版・共著)「社長さん今が決断のときです」(カナリア書房・共著)月刊税理「この資産にはこの評価」他多数。

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