経営助言アプローチ

吉永茂の“経営助言アプローチ”
(20016.06.30)

【一般】「中小企業等経営力強化法」の成立に思う

認定経営革新等支援機関としての取り組みの方向性
 多くの税理士事務所が経営革新等支援機関として認定を受けているが、全体として活動は低調で、「名ばかりの支援機関」が多いとの批判も一部にはあった。
しかし、去る6月3日に、従来の「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」が「中小企業等経営強化法」に名称を変え、認定支援機関の業務内容に「経営力強化」を追加することで成立した。今後は、認定支援機関(税理士事務所)は、顧問先等の中小企業が「経営力向上計画」を策定し認定を受けようとする場合、それらの活動を支援することが求められることとなった。
「ローカルベンチマーク」を活用する
 「中小企業等経営強化法」の公布に合わせて「ローカルベンチマーク」という評価指標・評価手法が経済産業省から公表された。認定支援機関が中小企業と対話等を行うときには、「ローカルベンチマーク」を利用すべきことが明記されている。

ロ|カルベンチマ|クの内容

個別企業の経営力
評価を行う側面

(財務情報として) (非財務情報として)
(1)売上高増加率
(2)営業利益率
(3)労働生産性
(4)EBITDA有利子負債倍率
(5)営業運転資本回転率
(6)自己資本比率
経営者 経営者のビジョン、後継者の有無等
事業 市場規模・シェアー、技術力等の強み
取引関係者 顧客リピート率、取引銀行との関係等
内部管理体制 組織目標の共有、人材育成システム等

地域の経済
・産業の現状の側面

地域の産業構造 (注).ローカルベンチマークの進め方は、第1段階が地域の経済・産業の現状等、第2段階が個別企業の経営力評価とするのがベターと考えられる。
雇用の状況
内外の取引の流れ
需要構造など
認定支援機関として備えるべき指導能力等
「ローカルベンチマーク」の内容等から考えても、認定支援機関としては、管理会計全般をもう一度総復習すると共に、SWOT分析、5フォース分析、バランス・スコア・カード等の経営管理手法についての理解をもう一段深めることが急務と思われる。
 認定支援機関の活動実績をどのような形で公表した方が良いかの検討も、今後進められる予定とのことである。