経営助言アプローチ

吉永茂の“経営助言アプローチ”
(20016.05.26)

【建設】建設業のBCP(事業継続計画)

平成23年の東日本大震災、平成26年の広島の大規模な土砂崩れ、そして先月の熊本地震、いずれの場合も地元建設業者は自ら被災しながらも真っ先に現場に駆けつけ、行方不明者の捜索やガレキの撤去等に取り組みました。この意味で建設業は正に「危機管理産業」と言うこともでき、BCPも他の産業とは異なった面を含んでいます。
 上記三つの災害から得られた建設業のBCPのポイントは以下の通りです。
  1. 通信の途絶、燃料不足、停電、断水などへの対応
    携帯電話も使えなくなるため衛星電話等を確保しておくこと。l 停電でガソリンスタンドが操業できなくなる。軽油で走るディーゼルが役立つケースが多かった。停電に備え自家発電機を用意しておく。又、停電により信号機が作動せず道路が大渋滞する。飲料用、生活用水も最低量備蓄しておくこと。
  2. 動機、オペレーター及びガレキの仮置き場の確保
    災害後大量のガレキが発生する。ガレキの撤去等のための「人」、「物」、「場所」を確保し、地域の企業間でデータベース化しておく必要がある。
  3. 金銭面の対応等
    1. ガレキ撤去等の応急復旧作業の「単価」を行政側と協議しておき、「迅速」で「適正な」金額が建設企業に支払われるようにしておく。
    2. 建設企業としては作業代の一時立替え払いや被災したリース機械に対する賠償の請求をリース会社から受ける等の思わぬ支払いが発生することがある。想定外の支出に対応するための「繋ぎ資金」の借り入れについて日頃から金融機関等と協議しておく。
 「天災は忘れたころにやってくる」と言います。BCPを作り、日頃の訓練を欠かさないことが地域と共に活きていく地場建設企業の責務と言えるのではないでしょうか。