経営助言アプローチ

吉永茂の“経営助言アプローチ”

【一般】事業継続計画(BCP)の取り組みについて思うこと

 先ず事実から見てみましょう。
 東京商工リサーチの調査によれば、2014年度(2014年4月〜2015年3月)の全国の企業倒産(負債総額1000万円以上)は9,543件、負債総額は1兆8686億500万円でした。又、倒産には至らないまでも、休廃業・解散した企業の数は2万6,999件で、両者の合計数は全国の企業数385万の約1%に近い36,542件でした。
 上記の数値には、負債総額が1000万円以下であったり、又、世間の目に触れることなく「ひっそり」と市場から姿を消した企業は含まれていませんので、実際に事業継続ができなかった企業数は4万企業をはるかに超えるものと思われます。
 世間では、2060年には人口が現状の70%前後の8600万人前後になってしまう「少子高齢化」が多く取り上げられていますが、企業の減少のスピードは人口減のスピードを上回るものがあると言えます。このことによる失業者増や倒産企業数の何倍もの企業が倒産の余波を受けていることを考えるときに、倒産等を阻止するBCPへの取り組みは我が国経済の正に喫緊の重大事と言えます。

 ところで、「事業継続」についてのISOの規格にISO22301(事業継続マネジメントシステム)があることは御存じの通りです。ISO22301が発行されたのが2011年の東日本大震災の直後の2012年であったことも理由の一つかも知れませんが、我が国でBCMSを論じるときほとんどが「百年に一度来るか否かの大災害」についてであるように思われます。

 現在開催中の国会において「中小企業等経営強化法」が審議されていますが、この法案に関連して公表されております「ローカルベンチマーク」は中小企業のBCMSを考える上での有益な多くの視点を提供してくれていると思います。
 法案の審議と軌を一にして、「災害」というインシデントだけでなく、「倒産」という経済的なインシデントを回避するBCMSへの取り組みが加速することが望まれます。又、BCMSへの取り組みが、ISO22301の取得として結実すれば、取得企業に対する社会の信頼度が大きく高まることにも繋がります。