Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

経営参謀ベネフィットドクターの知恵(I)


I 経営力のハーモニー

 企業の発展は、「経営力」を軸に展開していきます。

 経営力は、

・企業の価値「売上の拡大と利益の確保」
・企業の起点「組織の躍動と人材の育成」
・企業の展望「市場の把握と消費者の心理」

のハーモニーを基本にしています。

 それらが絶妙なバランスで躍動のメロディを奏でています。何かが極端に突出していたり、強弱に偏りが出ても、企業は健全な発展や躍進は得られないでしょう。どの項目も均衡のよいグッドバランスで、全体のハーモニーを成している状態から「企業力」がパワーアップするのです。

 売上を拡大しようとすると利益を度外視したら、薄利多売でも、やがて赤字転落に陥る危険があります。逆に、利益重視にしてしまえば、商品価値に疑問が生じればお客様に不信を与えかねません。適切に適正価格で利益を調和させることによって、お客様を説得し、納得してもらうことができるでしょう。

 経営力のハーモニーに乱れがあれば、企業力がチグハグになってしまいます。無駄な手数がかかり経営の展開が不安定になってしまいます。まったく躍進や躍動は期待できないでしょう。

 同様に、画期的な商品ということで増産しても、販売と連携し、強化していない限り、在庫の山になってしまいます。維持すら望めない状態です。

 すべての項目が、相互に好影響をもたらすことが大切なのです。

 経営力は、「演劇の舞台演出」に似ています。

 演劇は、主人公だけでは成り立ちません。いかに上手な役者でも、その主人公を引き立てる脇役の存在が不可欠です。脇役は、単なる脇にいるだけの人ではありません。脇役という役柄を主体的に演じて、演劇全体にスパイスを利かせているのです。

 さらに、奥行きと深みにある環境を作り出す大道具さんがいます。状況や場面の強弱を効果的に表現する照明さんや音響さんもいます。それぞれが様々な役割を主体的に発揮して、お互いを引き立て合って「ハーモニー」を奏で舞台を盛り上げています。個性的で魅惑的に絡み合った全体の影響力で観客を魅了する演劇が完成するのです。

 企業はまるで「劇場」です。観客を含んだ全ての役割で個性が集約されている劇場です。その企業に関わる個性の最善を導きだそうとする企業の魅力と同じだからです。

 職場は、「舞台」であり、お客様も社員も主体的な「主役」なのです。そして経営者が「演出家」なのでしょう。

 演出力で演劇の魅力が決まるように、経営力を発揮して各個性を一つにするハーモニーによって企業力を作り上げていくのです。