Dr.鈴木丈織の連載コラム ベネフィットドクター(R)スキルアップマインド
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経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築

真のリーダーシップを育成する


 有名企業に転職してもリストラされる時代です。常にスキルを磨き、10年先でも通用する実力を身に付ける意識が必要です。

 文部科学省の意識調査では、社会人の育成機関および雇用企業の理解が得られれば、社会人になってからも必要な知識、スキルを学びたいと思っている大卒以上の社会人は、90%を占めているのです。しかし、大学・大学院入学者に占める社会人の割合は、OECD加盟国の平均が21%に対して、日本は2%と報告されています。

 学ぶ意欲のある社員をよりよく育成していくリーダーシップを経営者に指導し、経営者自身にもより優れた影響力発揮をめざしてもらうように教育するのも、会計事務所の役割といえます。


お客様獲得に向けての力量

 何と言っても経営者は、仕事の力量で他の社員を圧倒していなければ、リーダーとしての影響力を強化することはできません。

 具体的には、まず経営者である社長が先頭に立って、お客様を増やすための戦略を打ち出すことです。社長が自ら、常に顧客リストを把握し、新規のお客様の獲得、既存のお客様の継続により、経営を安定させる戦略を社員に提示していくことが第一です。

 それは経営者としての義務といっても過言ではありません。それを、営業部門だけに任せてしまってはいないか、報告だけを鵜呑みにしていないか、確認する必要があります。

 経営者が発揮すべきリーダーシップは、お客様獲得に向けてです。それによって、社長を筆頭に、全社員が営業パーソンであるという認識を持たせ、経営の安定、拡大に導くことができるのです。特に、小・零細企業の経営者にとっては大切なポイントです。

 つまり、経営者の力になり、社員に浸透する具体的な戦略づくりを支援するのも、経営参謀の役割です。


人間的魅力で迫る

 チームの活性化に必要なのは、何と言ってもリーダーとなる人物の人間味です。だれとでも気楽に話せる度量の大きさも要求されます。若い社員は、自分の話を社長が真剣に聞いてくれたことに感激します。それは、話の内容や意見、提案に耳を傾けてくれたというだけでなく、自分という人間を認めてくれた、全人格を認めてもらえた、というように過大評価をするのです。認められて嬉しくない人はありません。自分を受容し、認めてくれた人に対して自分も相手を認める気持ちになります。

 人は、認めてくれた相手には裏切ることなく、信頼に応えようとするものです。そこには、社長や社員という身分を離れ、人間同士の信頼関係ができあがるのです。その信頼関係を社員一人ひとりと結ぶことができれば、社長を核とした力強いチームができあがります。

 双方向コミュニケーションの重要性および具体的スキルを経営者に指導し、よりよい社員との共感関係をつくることにより、このリーダーシップ強化につなげることができるのです。