FRAUD MAGAZINE

新時代における交流
Mingling in the New Millennium
ソーシャルメディアを有効に活用する
Making Social Media Work for You

マンディ・ムーディー:著
By Mandy Moody



不正と闘う上でもっとも成功を収めている人々は、無料のソーシャルメディアを(人的)ネットワークの構築、事業の拡大や連絡体制の強化、新しい犯罪手法に関する情報収集や不正防止に係るニュースや情報源を得るために利用している。これはすばらしい新双方向型世界である。


 CFEであるエリック・フェルドマン(Eric Feldman)が、連邦政府を2010年に退職することを決め、倫理およびコンプライアンス関連の会社Core Integrity Group社を設立した。その際に、彼の26歳になる息子で、カリフォルニア州ビバリーヒルズに所在するインターネットメディア関連会社で技術責任者であるジョッシュが「父さん、LinkedInに登録しなくちゃはじまらないよ」と言った。

 「ハイテク恐怖症」と自負するフェルドマンは、慎重にLinkedInのアカウントを登録し、職歴、連絡先、彼の新しい会社のウェブサイト情報を掲載した。ソーシャルメディアの様子を見たのちに、彼は思い切って、他の著名なプロフェッショナルに招待状を送り、関連する討論グループに参加し、さらには新規顧客をも見込んでいた。

 「まったく何も知らないゼロの状態からLinkedInに登録しました」とフェルドマンは述べ、「それが、今では私の事業を紹介する主な場所になっています。接触したい人々に電子メールを送付し、それが結果的にさらに他の人々とのつながりをもたらしてくれています。連絡先を増やす点において、とても優れています。」

 個人事業主;中小企業、非営利団体および行政機関の従業員;CFOおよびCEOなど−不正と闘う全ての人々がソーシャルメディアの恩恵を受けられるでしょう。



LINKEDIN:便利な入り口


 LinkedInは200カ国以上から1億人以上のメンバーを誇る「世界最大のプロフェッショナル向けネットワーク」と称されている。フォーチュン500に掲載されている全企業の役員が参加し、不正検知、マネーロンダリング、コンプライアンスおよび倫理などの討論グループが500以上も存在する。利用者は自分のデスクから(または、2002年にリード・ホフマン(Reid Hoffman)がLinkedInのサイトを開始した、リビングルームからでも)その分野のプロフェッショナル向けネットワークと繋がり、目途をつけ、宣伝し、拡張していくことができるのである。

 ネットワーク・コミュニティおよびグループが設立した規定以外の公式ルールは存在せず、ドレスコードや名刺の交換義務もない。例えば、多くの、すべてではないが、広告やプロモーションは、「フラグ」され、それに対応している業界や仕事への重要なトピックを討論するために存在するグループのメンバーによって指定された「プロモーション」タブに移動される。すべての当事者がおなじみのログインページで偏見と大げさな演説を置いてくることに同意したときのみに、透明性の確保できるユニークな環境が公正かつ誠実な討論、そしてある種のマーケティング行為が成立する。

 「ビジネスオーナーがLinkedInを利用することで大企業ほどのマーケティング力を持つことができる」と、ノースカロライナ州のPolaris Risk Services LLCのオーナー兼CEOのティモシー・ヘディガー(Timothy Hediger, CFE, CIA, CCSA)は述べた。「現在、ビジネス、行政、社会で重要な根底からの文化的な変革が起きている。それは、以前は広範な人脈と、強力な権力を持ち合わせた者に限られていたことを今度はすべての人に共有する機会を可能にしようとしている。LinkedInに代表されるソーシャルメディアは今日の環境ではあらゆるプロフェッショナルが成長するために非常に重要である。



FACEBOOK:大衆へのコミュニケーション


 不正と闘う多くの人々はLinkedInの専門的な性質を好む一方で、CFEであるヘディガー同様にオンライン上の会話に参加するために、Twitter、Facebookやその他のブログサイトに集まっている。米国のアカデミー賞にノミネートされた映画として、一躍メディアに知られたFacebookは約700万人のアクティブ利用者を持つ、世界最大のソーシャルネットワークとして君臨し続けている。利用者の約70%が米国以外のFacebookでは、個人、企業、ブランド、グループ、協会、はたまたペット向けに、多様かつ拡大しているネットワークにつなげる為のプラットフォーム(またはページ)を提供している。

 Facebookは、デフォルトのアプリケーション機能 「Places(場所)」によって利用者の位置情報を公開する等の、プライバシー問題を抱えている。それにも関わらず、一旦、このソーシャルメディアのメッカに魅了されてしまった者は、同僚、友達や家族と対話、写真や映像の共有、そしてお気に入りの商品や興味のあることを好きか嫌いか伝える「Like」、(利用者は「Like」のボタンを押すことで、自分の興味を表現することができる)ために、恐らく1日10回、もしくは100回も利用する。このように選択された「Like」の項目は集約され、利用者が興味を持つ可能性のあるニュース、最新情報や広告を提供される。 たとえば、ACFEのホームページを「Like」した場合、Facebookはあなたのホームページに不正検査や類似分野に関連する広告を表示したり、新規ニュース項目として更新したりする。

 ACFE支部は、自動的に全てのフォロワー(支持者)に掲示版や電子メールを介して、支部メンバーと通信できるようにするためにLinkedInとFacebookにグループページを作成している。ACFEのFacebookの企業ページとLinkedIn討論グループでは、フォロワーに不正対策ニュース、イベント、ビデオ、アンケート、顧客サービスを提供している。たとえば、CFE認定試験前に行われているCFE試験対策コースの受講について質問があった場合、ACFEは提案、助言および率直なフィードバックを24時間以内に応答することができる。また、他にその質問を閲覧した人も、自分の意見を自由に伝えることもできる双方向の会話を活気と価値のある議論へと変わっていく。



TWITTER:簡潔な情報


 ミクロのブログサイトのTwitterは、「Tweet(つぶやき)」と呼ばれるリアルタイムの投稿を通じてニュースや最新情報を通信するネットワークである。一度に投稿できる文字数が140文字に制限されていることから、つぶやきは利用者の瞬間的な思いや行動を簡潔に投稿することになる。175万人以上の利用者は人物、ブランド、企業または事業者をフォロー(支持)し、リアルタイムで最新の情報を受け取ることができる。

 Facebookと同様に、「Twitterverse(ツイッターバース)」は、利用者が選択したニュース速報、最先端技術、イベント、商品、資源を選別する。CFEの資格者は他のCFEと繋がることができたり、不正と闘う人々は最新の不正関連ニュースを得ることがでたり、経営者は企業イベントや出版物を宣伝することができる。さらに、英国女王が土曜日の午後に何をしているのかさえも知ることができる。



ブログ:長めのエキスパートの論評


 CFEの皆さんの中で、140文字が短いと感じる方々には、企業または個人のブログが解決策かもしれない。ブログ(ウェブログの略)のそれぞれの投稿はテーマについて、または、意識の流れに沿った300から400文字のコメントである。ほとんどのブログは、週2から3回更新され、日記や短編雑誌の組み合わせのように読んでいく。ブログは超個人的ものから異常に政治的まで幅広いが、不正と闘う人々においては、コンプライアンス、不正リスクマネジメント、内部監査などのトピックに関して、専門家としての論評を提供する方法を発見している。

 フェルドマンは、他のコンプライアンスと倫理を論評しているブロガーの協力を得て、彼の会社の名前を広めるために彼はブログを会社のウェブサイト(CoreIntegrityGroup.com)上で始めた。「私がブログを始めたかった当初の理由は、私の専門知識が本物であることを証明したかった、言い換えれば、企業倫理やコンプライアンスを含む最先端の問題についての対話に参加していたかったのだ」と、フェルドマンは振り返った。「私の息子は、頻繁に訪問者を呼び込むための方法として、新しいコンテンツや新規リンク先を定期的に更新し、検索エンジンにおける自社のポジショニングを上げること、そして、ウェブサイトをより面白くして意味のあるものにするために会社のウェブサイトの一部としてブログを開設することを勧めてくれた。」

 フェルドマンが述べたように、対話の一部を担うことは、事業の成長と特定の分野における内容領域専門家(subject matter expert)として評判を得るために不可欠である。四六時中に起こっているソーシャルメディア上の会話について、CFEの多くの皆さんは自分自身に「果たして、自分はこの会話に参加したいのか」問わなければならないでしょう。

 BDR Advisors LLCの代表であり、CFE、CIAのシーラ・キーフ(Sheila Keefe)にとっては、答えは「イエス」である。キーフは、不正検知、キャッシュフロー管理および監査に関する見識を共有するブログBusiness Done Right (www.grcmaven.com)を2009年に開設した。「当時は無駄と乱用をなくすことで、事業を成功に導く考え方を交換することに一生懸命だった」とキーフは述べた。

 彼女のように不正と闘う情熱同様に、キーフは専門家としての主張を続けながら、コーポレートガバナンスに関する既存の会話に参加したかった。それにより、仮想空間で彼女の名前の認知度を上げることだけでなく、さらに「ブログのコミュニティに参加することで自分の仕事の楽しみを充実させてくれた」とキーフは述べている。



ソーシャルメディアを不正検査に活用する


 ACFE学術調査専門家であり、法務博士であるヤコブ・パークス(Jakob Parks)は、2月のFraud Magazineウェブの特別記事「Using Social Networking Site Information in the Courtroom (邦訳:法廷でソーシャルネットワーク情報を使用する)http://www.fraud-magazine.com/article.aspx?id=4294969047 」で、不正検査士は「FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワーキングサイト(SNS)に掲載された情報の証拠を発見するために努力すべきである」と述べている。

 「利用者のオンライン上のプロフィールは、たとえば、病欠で仕事を休んでいたはずの日に豪華な旅行が記録されていたり、到底手が届かないような新居の写真を投稿していたり、不正を示唆する危険信号の宝庫であったりする。SNSは法的手続きにおいて直接的な証拠あるいは証言を否定するために使用することができる利用者の情報に満ちている。」とパークスは語っている。

 LinkedIn、Facebook、およびTwitterは、現在、ソーシャルメディア集団のリーダーであるが、不正検査士は、YouTubeやTumblr、さらにSquareやSCVNGRのような多種多様な新興のソーシャルツールにも、注視していかなければならない。

 これらの名称は新世紀世代の略された俗語のように読めるが、若者向けのネットワークはすべてのCFEに向けて貴重な打撃を与えてくれる。インターネット・インテリジェンス、セキュリティ、調査に注目したコンサルティング会社の社長及び設立者である、シンシア・ヘザーリントンは次のように雄弁にまとめた:「ソーシャルネットワーキングサイト全体のビジネスは、マーケティング会社のためにあなたの情報をカタログ化し、販売することを目的としている。不正検査士達はこれらの情報を効率的かつ合法的に使用している。]



ネットワーキング 2.0:新時代における交流


 恐らくCFEが自分のコレクションに追加できる最も貴重なツールの一つは、新たなソーシャルネットワーキングのアイデアに対する進歩的な姿勢をとることです。キャリアアップの観点からだけの見通しだけではなく、不正との闘いで成功を収めるために不可欠である。不正実行者とその手口は、常に進化している。ソーシャルネットワーキングを通じ、CFEは最新のテクニックと不正実行者の刻々と変化する犯罪手口に精通しておくことができる。

 ソーシャルメディアでは日々、ACFE年次総会に参加する不正と闘う人々の間で交わされるような会話が行われている。カンファレンスや展示会のように、LinkedIn、Facebook、Twitterやブログでの交流は自然に起こる。LinkedIn上で、またはFacebook上で繋がる仮想の招待状は、ディナーパーティーの会場内や、また、メールでランチミーティングのリクエストで差し出したようなものだ。本質は変わっていない。変わっているのは活動の場だけである。むしろ、その活動の場が拡大しているのかもしれない。



コラム1
ソーシャルメディアのベストプラクティスで経験豊富になる
Become Savvy on Social Media Best Practices

 トーン(論調)を磨く Hone Your Tone

 ソーシャルメディアのトーン(論調)は、個人的立場と企業としての立場のバランスである。プロフェッショナルのまま、誠実かつ明白に。コメントや投稿は文字数制限を考慮し、通常、短く、単刀直入に(議論は例外)。

 ヒント:氏名、役職、会社とメールアドレスをプロフィールにもれなく記入する。質問とコメントには適時(24時間以内)応答する。

 ソーシャルメディアのネチケット(ネットワーク・エチケット)Social Media Netiquette

 肯定的なコメントやレビューを受け入れること。あなたの行動はあらゆる人に見られるので、積極的、肯定的なソーシャルメディアの参加者であることを示す。

 ヒント:褒め言葉をもらったらお礼を、そして他の人にも積極的に褒め言葉や「Like」すること。

 キーワードを使う Use Keywords

 ACFEソーシャルメディアのコンテンツが検索エンジンで簡単に検索できるように、記事内のキーワードを使用する。

 行動を起こさせる Give a Call to Action

 ソーシャルメディア利用者は、望むものを的確に伝えてほしいと思っている、そうすることで、彼らが探し求めているものを見つけやすくなる。あなたが何を共有しているのか、可能な限り他の利用者に分かりやすくする。

 ヒント:行動を起こしやすいように動詞を使う。フォロワーに何をしてほしいのか、正確に伝える。例えば、「新世紀における不正検査に関する無償の白書を閲覧するにはここをクリック」

 双方向にする Be Interactive

 もはや一方的にコメントを投稿するだけでは十分でない。利用者が行かないようなところに連れて行ってあげよう。利用者との対話をするためのサポートツールとして、無料でダウンロードできるアプリケーションに精通しておこう。

 ヒント:サイトにリンク先、写真や映像を加える。質問するか、または、アンケートを取る。

 編集/再読 Edit/Reread

 投稿したコメントは、永遠にウェブ上に残る。しようと思えば自分でいつでも削除するか、取り下げることができるであろうが、誰かが既に参照/コメント/共有していないことは保証できない。

 ヒント:投稿の際に、投稿内容を見直し、リンク先を確認する。文法、トーンが不確かな場合、投稿する前に誰かにレビューをしてもらう。



コラム2
CFEのためのソーシャルネットワーク
Useful Social Networks for CFEs

 LinkedIn

 サービス開始:2003年
 利用者数:1億人以上
 主な利用方法:交流、業界の専門家と接続、職探し・求人、新規見込み客の探索、積極的且つ活気ある会話と関心事中心の討論グループ
 マメ知識:共同設立者のリード・ホフマン(Reid Hoffman)が2002年にリビングルームで事業を開始した。

 Facebook

 サービス開始:2004年
 利用者数:7億人近い
 主な利用方法:個人および社会的なレベルにおいて人々と、ニュースの共有、イベント情報、リンク、写真、ビデオ、および製品について接続する。
 マメ知識:70%以上の利用者は米国外である。

 Twitter

 サービス開始:2009年
 利用者数:1億7500万人以上
 主な利用方法:リアルタイムで最新ニュース、記事、ホワイトペーパー、およびアンケートを共有して受信。
 マメ知識:Twitterをビジネスでどのように使えるのか、ヒントはウェブサイト参照。
 http://business.twitter.com.



コラム3
ソーシャルメディアは使える!
Social Media Works!

 2011年ソーシャルメディアマーケティング市場レポート:
 販売会社が事業を成長させるためにどのようにソーシャルメディアを使っているのか
 (http://www.socialmediaexaminer.com/social-media-marketing-industry-report-2011/)
 ソーシャルメディア検査士のマイケル・ステルツナー(Michael Stelzner)が、経営者3,342 人を対象にソーシャルメディアでの経験についてのアンケートを実施した:
 88パーセントの会社がブランド認知度向上を実感
 72パーセントがサイトへのアクセス件数が増えた
 62パーセントが検索サイトのランキングが向上した
 59パーセントが新しいパートナーシップを締結した
 48パーセントが売上を向上
 59パーセントの自営業者が宣伝費の削減を実感



マンディ・ムーディー
ACFEのソーシャルメディアのスペシャリスト。


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